NEW!【第76回 午前 100】人は必ず間違える!だからこそ必要な○○の考え方

医療安全管理学

医療安全に関する用語の説明で正しいのはどれか。

  1. 医療過誤とは医療従事者の故意によって生じた医療事故である。
  2. エラーレジスタンスとはエラーが生じにくい仕組みにすることである。
  3. フォールトトレランスとは故障自体が発生しないように設計することである。
  4. WHOが定義する患者安全とは医療に関連した不必要な害を根絶する行為のことである。
  5. フールプルーフとは誤動作等の障害が発生した際に安全側に動作するように設計することである。

出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)


2.エラーレジスタンスとはエラーが生じにくい仕組みにすることである。


解説

✔ 「人は間違える」を前提としたエラーレジスタンス

医療安全の大原則は「人間は必ずエラー(ミス)をする生き物である」という前提に立つことです。 「エラーレジスタンス(Error resistance)」とは、レジスタンス(抵抗)という言葉の通り、「人間がエラーを起こそうとしても、そもそもエラーが起きにくい(ミスしにくい)ような仕組みや環境を作ること」を指します。


✔ 各選択肢について

1.医療過誤とは医療従事者の故意によって生じた医療事故である。

  • 誤り
  • 「医療過誤」とは、医療従事者の「過失(うっかりミスや注意義務違反)」によって患者さんに被害を与えてしまうことです。
  • 「故意(わざと、意図的に)」やったのであれば、それは医療事故ではなくただの「犯罪(傷害罪や殺人未遂など)」になってしまいます。

3.フォールトトレランスとは故障自体が発生しないように設計することである。

  • 誤り
  • 「フォールト(故障)」を「トレランス(許容する)」という意味です。つまり、「一部が故障しても、システム全体としては動き続けるように設計すること」です。
  • 例:病院の電源が落ちても、自家発電機がすぐに立ち上がって手術室の電気が消えない仕組みなど。
  • 故障自体が発生しないようにするというのは、「フォールトアボイダンス(Fault avoidance:故障排除)」の説明です。

4.WHOが定義する患者安全とは医療に関連した不必要な害を根絶する行為のことである。

  • 誤り
  • 医療において、リスクや害をゼロにする(根絶する)ことは現代の医学でも不可能です。
  • WHO(世界保健機関)の定義では、根絶ではなく「許容できる最小限度まで減らすこと」とされています。

5.フールプルーフとは誤動作等の障害が発生した際に安全側に動作するように設計することである。

  • 誤り
  • 「フール(愚か者・うっかり者)」が使っても「プルーフ(防ぐ)」という意味です。つまり、「人間が間違った操作をしようとしても、構造的にそれができないように設計すること」です。
  • 例:向きを間違えると刺さらないコンセントなど。
  • 障害が発生した際に安全側に動作するというのは、「フェイルセーフ(Fail-safe)」の説明です。(例:ストーブが転倒した時、自動で火が消える仕組みなど)。

出題者の“声”

この問題は、「医療事故を個人の気合と根性で防ごうとしていないか」を確かめるためのメッセージじゃ。

「事故が起きた! 気をつけます!」「ダブルチェックを徹底します!」。これらは一見正しいように見えて、実はシステムとしては非常に脆い。なぜなら、気をつけていても疲れていればミスをするのが人間だからじゃ。

だからこそ、「フェイルセーフ」「フールプルーフ」といった『仕組み(システム)の力』を借りて患者さんを守らなければならない。精神論ではなく、システム工学の視点で医療安全を語れるプロになってほしいんじゃよ。


臨床の“目”で読む

放射線技師が働く現場には、今回学んだ安全システムが至る所に張り巡らされています。

  • フールプルーフの例
    • 医療用ガスの配管。酸素のコネクターと、二酸化炭素のコネクターは「形」が全く違います。これは、どれだけ慌てて間違えて挿そうとしても、物理的に絶対に入らない(ミスできない)ようにするためのフールプルーフです。
  • フェイルセーフの例
    • X線室のドアの「インターロック」。X線を出そうとしても、ドアが開いているとX線が照射できない仕組みになっています。「あれ?透視が出ない?故障かな?」と焦る場面で、ドアがわずかに開いていたなんてことはよくあります。「ドアが開く(エラー)」が起きた時、「放射線が止まる(安全側)」に倒れるフェイルセーフの代表例です。

皆さんが毎日何気なく使っている機械の形やドアの仕組み一つひとつに、「患者さんとスタッフを絶対に守る」という先人たちの医療安全の知恵が詰まっているのです。


今日のまとめ

  1. エラーレジスタンス = エラーが起きにくい「環境や仕組み」を作ること!
  2. フールプルーフ = 人が間違えようとしても、「物理的に操作できない」ようにすること!
  3. フェイルセーフ = 何か異常が起きたら、とりあえず「安全な状態(ストップなど)」に移行すること!
  4. フォールトトレランス = 一部が壊れても、「システム全体は止まらずに動き続ける」こと!

コメント