【第76回 午前 19】国試と検診の鉄板!眼底写真なんて何回復習してもいいですからね!

第76回

無散瞳眼底写真撮影で正しいのはどれか。

  1. 白黒画像が得られる。
  2. 撮影は縮瞳させた状態で行う。
  3. 色覚異常の診断に有用である。
  4. 視神経乳頭は黄斑部より鼻側に位置する。
  5. ピント合わせの照明に紫外線を使用する。

出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)


4.視神経乳頭は黄斑部より鼻側に位置する。


解説

✔ 眼底の「地図」を覚えよう

まずは、眼底写真の解剖を整理しましょう。 眼底には2つの重要なランドマークがあります。

  1. 視神経乳頭:血管が集まっている白く明るい円。ここが「盲点」です。
  2. 黄斑部:血管がなく、少し暗く見える中心部分。ここが「最もよく見える場所(中心窩)」です。

そして、その位置関係には絶対のルールがあります。 「乳頭(血管の根元)がある方が、鼻側である」

✔ 「無散瞳」ってどういうこと?

通常、眼の奥を覗くには、瞳孔を開く目薬(散瞳薬)を使います。しかし、健診などで全員に目薬をさすのは大変ですし、数時間はまぶしくて運転もできません。 そこで開発されたのが「無散瞳眼底カメラ」です。

  • 観察・ピント合わせ
    • 「赤外線」を使います。
    • 赤外線はまぶしくないので、人間の眼は反応しません。つまり、暗い部屋にいるのと同じで、自然に瞳孔が開いたまま(自然散瞳)になります。この隙に位置合わせをします。
  • 撮影の瞬間
    • 「可視光(ストロボ)」をバシッと焚きます。
    • 一瞬だけ強い光でカラー写真を撮ります。撮った直後はまぶしくて瞳孔が閉じます(縮瞳)が、もう写真は撮れているのでOKです。

✔ 各選択肢について

1.白黒画像が得られる。

  • 誤り
  • 眼底写真は、血管の状態や出血の色を見るために「カラー画像」で記録します。

2.撮影は縮瞳させた状態で行う。

  • 誤り
  • 「縮瞳(瞳孔が閉じている状態)」では、鍵穴から部屋の中を覗くようなもので、狭すぎて何も見えません。 暗室効果を利用して、「自然散瞳(瞳孔が開いた状態)」にして撮影します。 (※「無散瞳」とは「薬で強制的に開かない」という意味で、「閉じたまま撮る」という意味ではありません!)

3.色覚異常の診断に有用である。

  • 誤り
  • 眼底写真は「形(網膜の剥離や出血)」を見る検査です。 色を感じる機能(色覚)の検査には、石原式色覚検査表などが使われます。

4.視神経乳頭は黄斑部より鼻側に位置する。

  • 正解
  • 「乳頭は鼻側、黄斑は耳側」。 これは眼底写真のイメージで覚えてください。

5.ピント合わせの照明に紫外線を使用する。

  • 誤り
  • 紫外線は眼に有害ですし、見えません。 使用するのは「赤外線」です。

出題者の“声”

この問題は、眼底の「左右」が分かっているか、そしてカメラの「光源」の理由を知っているかを問うておる。

学生さんはよく「右眼の写真か、左眼の写真か?」で迷うようじゃな。 「視神経乳頭がある方が、鼻(内側)」じゃ。

そして「赤外線」。 まぶしい光(可視光)を当てると瞳孔がキュッと閉じてしまう。 だから、気づかれないように「見えない光(赤外線)」でこっそり近づき、最後にバシャッと撮る。 この仕組みを知っておれば、紫外線などという危険な選択肢は選ばんはずじゃ。


臨床の“目”で読む

健診業務などで眼底カメラを扱う際、一番のコツは「患者さんの誘導」です。

  • 「視線の固定」
    • 無散瞳カメラの中には、視線を固定するための「固視灯(緑色の点滅など)」があります。 患者さんがキョロキョロすると、黄斑部が中心に来ません。 「中の光をぼんやり見ていてください」と声をかけることで、眼球をいい位置に固定できます。
  • まぶたとの戦い
    • 高齢の方は、まぶたが下がってきて瞳孔を隠してしまうことがあります(眼瞼下垂)。 そのままだと写真の上半分が黒くケラれてしまいます。 そんな時は、技師がそっと指でまぶたを持ち上げて、瞳孔を露出させて撮る必要があります。

眼底写真は、動脈硬化糖尿病の魔の手が忍び寄っていないかを知る、唯一の「血管を直接見られる窓」です。 きれいな写真を撮ることは、患者さんの未来を守ることにつながります。


今日のまとめ

  1. 視神経乳頭「鼻側」にある。
  2. 黄斑部(中心窩)は「耳側」にある。
  3. 無散瞳カメラの位置合わせには「赤外線」を使う(縮瞳させないため)。
  4. 撮影の瞬間は「可視光(ストロボ)」でカラー撮影する。
  5. 撮影時は、暗室で自然散瞳させるのが基本。

コメント