第76回 午前 3

理工学・放射線科学

クロマトグラフィでカラムを必要としないのはどれか。

  1. ガスクロマトグラフィ
  2. 吸着クロマトグラフィ
  3. 薄層クロマトグラフィ
  4. 高速液体クロマトグラフィ
  5. イオン交換クロマトグラフィ

出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)


3.薄層クロマトグラフィ


解説

✔ 「カラム(柱)」か「平面(プレート)」か?

クロマトグラフィ(混合物を分ける技術)は、使う道具の形状で大きく2つに分けられます。

  • カラムクロマトグラフィ
    • 筒(カラム)の中に充填剤を詰め、上から試料を流して分ける方法。
    • 多くの分析装置(ガスクロマトグラフィ高速液体クロマトグラフィなど)はこのタイプです。
  • 平面クロマトグラフィ
    • 平らな板や紙を使って分ける方法。
    • 代表選手が「薄層クロマトグラフィ(TLC)」や「ペーパークロマトグラフィ」です。

つまり、この問題は「装置の仕組み」を複雑に考える必要はなく、単純に「筒を使っていないのはどれ?」と聞いているだけなのです。


✔ 各選択肢について

1.ガスクロマトグラフィ

  • 誤り
  • 気体(ガス)を移動相にする方法です。細長い金属やガラスの管(カラム)の中にガスを通して分離します。

2.吸着クロマトグラフィ

  • 誤り
  • これは「分離のメカニズム」による分類の名前ですが、一般的に実験室で「吸着クロマト」と言うと、ガラス管(カラム)に吸着剤を詰めて行う「カラムクロマトグラフィ」を指すことが多いです。

3.薄層クロマトグラフィ

  • 正解
  • ガラスやプラスチックの板に、シリカゲルなどを薄く塗りつけたもの(薄層プレート)を使います。 ここに試料をポトリと落とし、溶媒に浸して下から吸い上げさせることで分離します。

4.高速液体クロマトグラフィ

  • 誤り
  • 強い圧力をかけて、金属製の強固なカラムに液体を押し込んで分離します。病院の検査室などにもよくある大きな装置です。

5.イオン交換クロマトグラフィ

  • 誤り
  • イオン交換樹脂を詰めたカラムを使って、イオンのプラス・マイナスの性質で分離する方法です。

出題者の“声”

この問題は、クロマトグラフィという言葉を聞いて、具体的な「実験風景」が浮かぶかを試しておる。

「ガスクロ」や「高速液体クロマト」と言われたら、巨大な分析装置と、その中に入っている配管(カラム)をイメージせねばならん。 一方で「薄層」と言われたら、手のひらサイズのガラス板をイメージするんじゃ。

文字だけで覚えていると、「吸着? イオン交換? 難しそう…」と迷宮入りしてしまう。 「薄層」という漢字を見るんじゃ。「薄い層」じゃぞ? 漢字の意味を素直に捉えれば、秒殺できるサービス問題じゃよ。


臨床の“目”で読む

「こんな化学の実験、臨床でやるの?」と思ったあなた。 実は、核医学検査(RI検査)の現場では、この薄層クロマトグラフィを日常的に使っています!

  • 放射性医薬品の「純度」チェック
    • 朝一番、業者さんから届いた放射性医薬品(テクネチウム製剤など)や、院内で調製した薬剤が、「ちゃんと目的の形になっているか?」を調べるためにTLCを使います。
    • これを「放射化学的純度試験」と言います。 短冊状のTLCプレートに薬剤を垂らして展開し、「ちゃんと薬として結合している成分」と「外れてしまった不純物(フリーのTcなど)」の割合を調べます。 もし不純物が多ければ、骨シンチなのに胃に集まってしまう…なんてことになりかねません。

TLCは、大掛かりな装置がいらず、短時間で結果が出るため、忙しい臨床現場での品質管理(QC)に最適な方法なのです。


今日のまとめ

  1. クロマトグラフィには「筒(カラム)」を使うタイプと、「板(平面)」を使うタイプがある。
  2. 薄層クロマトグラフィは、板を使う「平面クロマトグラフィ」の代表格。
  3. ガスクロや高速液体クロマトは、カラムが必須。

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