Basedow〈バセドウ〉病の 131I 核医学治療で Quimby〈クインビー〉の式による投与量決定に必要ないのはどれか。
- 有効半減期
- 24時間摂取率
- 甲状腺吸収線量
- 甲状腺推定重量
- 甲状腺ホルモン値
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
5.甲状腺ホルモン値
解説
✔ Quimbyの式=「狙った線量を当てるための計算式」
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療では、131I(放射性ヨウ素)を飲んで、甲状腺細胞を内側から破壊します。 この時、「どれくらいの量(MBq)を飲ませればいいか?」を決めるのがQuimbyの式です。
式を言葉で表すと以下のようになります。
投与量 = (甲状腺重量 × 希望吸収線量 × 定数)÷(24時間摂取率 × 有効半減期)
この式を「意味」で分解してみましょう。
- 【分子:壊したいターゲットの大きさ】
- 甲状腺推定重量:的(まと)がデカければ、たくさんの薬が必要です。
- 甲状腺吸収線量:どれくらいの強さで破壊したいか(希望線量:通常80〜100Gy程度)を医師が決めます。
- 【分母:薬の効率】
- 24時間摂取率:飲んだ薬のうち、何%が甲状腺に届くか?(届く率が悪ければ、多めに飲む必要があります)
- 有効半減期:届いた薬が、どれくらい長く留まって攻撃し続けてくれるか?(すぐに抜けてしまうなら、多めに飲む必要があります)
✔ なぜ「ホルモン値」はいらないのか?
甲状腺ホルモン値(FT3, FT4, TSH)は、病気の「重症度」を知るためには重要ですが、「放射線の物理的な計算」には直接関係ありません。 Quimbyの式は、あくまで「物理的に〇〇グレイ当てるには、何ベクレル必要か?」という計算式なので、血液検査のデータは使いません。
✔ 各選択肢について
1.有効半減期
- ❌ 誤り(正しい)
- 甲状腺内に留まる時間(生物学的半減期)と物理的半減期から計算されます。長く留まるほど効き目が強くなります。
2.24時間摂取率
- ❌ 誤り(正しい)
- 事前に少量の123Iまたは131Iを投与して測定します(摂取率試験)。これが低いと治療効率が悪くなります。
3.甲状腺吸収線量
- ❌ 誤り(正しい)
- 治療の「目標値」です。医師が「今回は80Gy(グレイ)当てよう」と決めます。
4.甲状腺推定重量
- ❌ 誤り(正しい)
- 超音波やCT、または触診で大きさを測ります。
5.甲状腺ホルモン値
- ✅ 正解(誤り)
- 投与量の計算式には含まれません。
出題者の“声”

この問題は、数式を丸暗記していなくても、「理屈」で考えれば解けるんじゃ。
「甲状腺を壊したい」 じゃあ何が必要か? 「的の大きさ(重量)」と「破壊したい強さ(線量)」じゃ。 そして、使う武器(131I)の性能として、「どれくらい集まるか(摂取率)」と「どれくらい長持ちするか(半減期)」が必要じゃ。
ホルモン値、それは「病気の診断」には使うが、「放射線の計算」には関係ない。 計算式を見てアレルギーを起こさず、それぞれの変数が「何のためにあるのか」を考える癖をつけるんじゃよ。
臨床の“目”で読む

現場では、この治療を行う前に必ず「事前検査(摂取率測定)」を行います。
- ヨウ素制限食の徹底
- 摂取率(取り込み率)を正確に測るためには、患者さんに「ヨウ素制限食(昆布、ワカメ、うがい薬禁止)」を1週間ほど続けてもらう必要があります。 もしヨウ素を摂取しいたら、甲状腺がヨウ素でお腹いっぱいになり、治療薬の131Iを取り込んでくれなくなります(摂取率が下がる)。 すると、計算上「めちゃくちゃ大量の薬が必要!」という誤った結果が出てしまいます。 正しい計算のためには、事前の食事指導が大切なんです。
- 外来通院での治療
- 昔は入院が必要でしたが、今は投与量が少なければ(500MBq以下など)、外来通院で治療できるようになりました。 患者さんがカプセルを飲んで帰るだけですが、体から放射線が出る状態なので、「小さい子供を抱っこしない」「トイレは2回流す」などの生活指導も重要です。
今日のまとめ
- Quimbyの式は、バセドウ病治療の131I投与量を決める式。
- 必要な項目は以下の4つ:
- 甲状腺重量(的の大きさ)
- 希望吸収線量(攻撃力)
- 24時間摂取率(命中率)
- 有効半減期(持続時間)



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