DICOM で定義されている医用画像モニタの表示関数はどれか。
- GSDF
- LUT
- MPPS
- MWM
- ガンマ 2.2
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
1.GSDF
解説
✔ 「GSDF」こそが医用モニタの憲法
GSDF(Grayscale Standard Display Function) : 日本語では「グレースケール標準表示関数」と訳されます。
これは、DICOM規格の「Part 14」で定義されている、「医用画像を表示する際の明るさのカーブ(決まりごと)」のことです。 この規格のおかげで、CTやMRIの画像を、A社のモニタで見ても、B社のモニタで見ても、「同じ見え方(同じ明るさ・コントラスト)」になることが保証されています。
✔ なぜ「ガンマ2.2」じゃダメなの?
ガンマ 2.2(選択肢5) これは、一般的な家庭用テレビやPCモニタ(Windowsなど)の標準的な明るさ設定です。 しかし、医用画像には向きません。なぜなら、人間の目は「暗いところの差には敏感で、明るいところの差には鈍感」という特性があるからです。 通常のガンマ2.2だと、黒っぽい部分の微妙な病変(コントラスト)がつぶれて見えなくなってしまう恐れがあります。
そこでGSDFは、「人間の目の特性(Bartenモデル)」に基づいてカーブを作り、「暗い部分でも明るい部分でも、同じように異常を見つけられる(識別できる)」ように設計されています。 これを「知覚的線形化」と言います。これが医用モニタの核心です。
✔ 各選択肢について
2.LUT
- ❌ 誤り
- LUT(Look Up Table:ルックアップテーブル)
- 意味:入力値を別の出力値に変換する「対応表」。
- 関係:モニタをGSDFに合わせるために使われる大事なツールですが、規格の名前ではありません。
3.MPPS
- ❌ 誤り
- MPPS(Modality Performed Procedure Step)
- 意味:実施済み手続きステップ。
- 役割:「検査終わりました! 造影剤これだけ使いました!」とRIS(放射線情報システム)に報告する機能。(業務フロー系)
4.MWM
- ❌ 誤り
- MWM(Modality Worklist Management)
- 意味:モダリティワークリスト。
- 役割:「今日の患者さんは誰?」とRISから患者情報を取得する機能。(業務フロー系)
出題者の“声”

この問題は、「診断用モニタの重要性」を理解しているかを問うておる。
「画像データさえあれば、スマホで見ても家のPCで見ても同じでしょ?」 そう思っているなら、甘い。
医用モニタは、GSDFという厳格なルールに従って、定期的にキャリブレーション(調整)されているからこそ、淡い肺炎像や微細な骨折線を映し出せるんじゃ。
「MWM」や「MPPS」はワークフローの話。 「GSDF」は、医師の目(診断)に直結する品質の話じゃ。
臨床の“目”で読む

現場では、「モニタの管理」は技師(特に品質管理担当者)の重要な仕事です。
- 「キャリブレーション」の実施
- 数ヶ月に一回、読影室のモニタに「センサー」を吸盤のように貼り付けて、画面をピカピカさせている光景を見ることになります。 あれは、モニタの経年劣化(バックライトが暗くなるなど)を補正して、「GSDFのカーブにズレがないか」を確認・修正しているのです。
- 100万円 vs 3万円
- 家電量販店で売っている4Kモニタは数万円ですが、読影用モニタは100万円以上することもあります。 なぜそんなに高いのか? それは、高解像度や高輝度であることはもちろん、この「GSDFカーブを長期間、正確に維持する回路(ハードウェアLUTなど)」が内蔵されているからです。 「高いには理由がある」。その理由がGSDFなのです。
今日のまとめ
- GSDF:医用モニタの表示規格(DICOM Part 14)。人間の目に合わせて見やすくしたもの。
- ガンマ2.2:普通のPCやテレビの規格。医療用ではない。
- LUT:GSDFを実現するための「変換テーブル(道具)」。
- MWM / MPPS:ワークリストや実施報告などの「業務フロー」用語。


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