回転陽極 X 線管で陽極回転数を 2.5 倍、焦点軌道直径を 1.2 倍にしたとき 0.1 秒以下の短時間許容負荷の倍数で最も近いのはどれか。
- 1.4
- 1.7
- 2.0
- 2.4
- 3.0
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
2.1.7
解説
✔ 「一瞬の熱」に耐えるための公式
X線管に「ドカン!」と大きな電気(負荷)を流すと、陽極のターゲット面は一瞬で超高温になります。 この時、陽極が溶けないようにするためには、「熱を広い面積に分散させること」が重要です。
0.1秒以下という「短時間」の許容負荷(W)は、以下の要素で決まります。
- 焦点軌道直径(D):大きいほど熱が分散する。
- 陽極回転数(N):速く回るほど、新しい冷却面が次々とやってくる。
そして、これらと許容負荷の関係式は以下の通りです。
W ∝ √ (D × N)
そう、「掛けてルート(√)」なのです! (※回転陽極の場合、熱電子が衝突する長さは円周に比例し、熱の拡散などは平方根に効いてくるため、最終的にこの形になります)
✔ 実際に計算してみよう
今回の問題文にある数値を、この公式に当てはめてみます。
- 回転数(N)の変化:2.5倍
- 軌道直径(D)の変化:1.2倍
これを公式に代入すると…
変化後の許容負荷 = √ (1.2 × 2.5) = √3.0
ここで、√3の値は覚えていますか? 「ひとなみにおごれや」= 1.732…
したがって、最も近い選択肢は「1.7」となります。
出題者の“声”

この問題は、公式を「形」で覚えているか、それとも「うろ覚え」かを試す問題じゃ。
多くの学生は「許容負荷は、回転数と直径に比例する」とまでは覚えておる。 しかし、「そのまま比例(1乗)」なのか「ルート比例(1/2乗)」なのかで迷うじゃろ? そこでワシは、わざと選択肢5に「3.0」を置いておいた。
これが最大の「引っかけ」じゃ! 「回転数2.5倍」と「直径1.2倍」をただ掛け算すると、 2.5 × 1.2 = 3.0 。 これは、公式の「ルート(√)」を忘れた学生を一網打尽にするための選択肢じゃ。絶対に選んではいけん!
短時間許容負荷の公式 W ∝ √(DN) 。このルートを、絶対に忘れるでないぞ。
臨床の“目”で読む

この問題、ただの計算問題ではありません。 「動きによるボケを防ぐために、X線管にどのような無理をさせているかを知り、装置をいたわりつつ最高画質を狙う」 これこそが、この問題の裏にあるテーマです。
- 「ブレない」ための戦術
- 心臓や小児など「動き」を止めるには、0.01秒レベルの極短時間照射が必須です。 しかし、時間を削って電流(mA)を爆上げすれば、陽極は一瞬で溶けてしまいます。 そこで「速く回す(√N)」+「大きくする(D)」の出番です。 熱を広範囲に分散させ、一瞬の熱衝撃に耐え抜く。この公式は、高画質を得るための「攻めの設定」の根拠なのです。
- 装置を壊さない「守り」
- 許容負荷を超えれば、陽極面が荒れて出力低下や画質悪化を招き、最悪は数百万クラスの管球交換です。 「回転数と径こそが熱処理の鍵」と直感的に理解していれば、無理な条件設定で装置の寿命を縮めるリスクを回避できます。 最高の画質は、装置の限界を知ることから生まれるのです。
今日のまとめ
- 短時間許容負荷の公式は W ∝ √ (D × N) 。
- 直径(D)と回転数(N)を掛け算して、最後に必ずルート(√)をつけること!
- √3 ≒ 1.73 (ひとなみにおごれや)は常識として覚えておく。



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