高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。
- 症状が定型的に出現する。
- 複数の臓器に障害が生じやすい。
- 薬物による副作用は発生しにくい。
- 慢性疾患では急激な変化は起こりにくい。
- 環境の変化があっても症状の変化は起こりにくい。
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
2.複数の臓器に障害が生じやすい。
解説
✔ 高齢者は「ドミノ倒し」が起きやすい
若い人は「風邪なら喉だけ」「骨折なら骨だけ」と単発で済みますが、高齢者は違います。 「加齢」というベースがあるため、体中の臓器の予備能力(スタミナ)が落ちています。 その結果、 「肺炎になった」 ⬇ 「酸素不足で心臓に負担がかかり、心不全になった」 ⬇ 「脱水で腎臓も悪くなった」 このように、一つの病気をきっかけに、ドミノ倒しのように次々と他の臓器もダウンしてしまうのが最大の特徴です。
✔ 各選択肢について
1.症状が定型的に出現する。
- ❌ 誤り
- 「非定型的」に出現する。 これが一番怖いです。
- 肺炎なのに「熱が出ない」。
- 心筋梗塞なのに「胸が痛くない」(ただ元気がないだけ)。
- 教科書通りの症状が出ないため、発見が遅れがちになります。
3.薬物による副作用は発生しにくい。
- ❌ 誤り
- 発生しやすい。
- 肝臓や腎臓の機能が落ちているため、薬を分解・排泄する力が弱く、薬が効きすぎてしまいます。
- また、複数の病院にかかっていて大量の薬を飲んでいる(ポリファーマシー)ことも多く、飲み合わせの副作用も起きやすいです。
4.慢性疾患では急激な変化は起こりにくい。
- ❌ 誤り
- 「急激な増悪」が起こりやすい。
- 慢性心不全やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などで安定していても、風邪などのちょっとしたきっかけで、ガクンと急激に悪化(急性増悪)することがあります。予備能力がギリギリだからです。
5.環境の変化があっても症状の変化は起こりにくい。
- ❌ 誤り
- 「環境の変化に弱い」。
- 入院して部屋が変わっただけで、急に認知症のような症状が出る「せん妄」を起こしたり、食欲がなくなったりします。適応能力(ホメオスタシス)が低下しているためです。
出題者の“声”

この問題は、君たちが「高齢者の特徴」を正しく理解しているか試しておる。
「お年寄りは、ただの『人生経験豊富な成人』ではない」のじゃ。 生理機能も、薬への反応も、メンタルも、若者とは全く別のルールで動いておる。
レントゲンを撮る時、「熱がないから肺炎じゃないだろう」と思い込んでいないか? 「足が痛い」という訴えの裏に、別の大きな病気が隠れているかもしれないと想像できるか? この問題を通して、高齢者特有の「脆(もろ)さ」と「複雑さ」に気づいてほしいんじゃよ。
臨床の“目”で読む

我々放射線技師も、この「高齢者の特徴」を知らないと、思わぬトラブルに巻き込まれます。
- 「偶然見つかる」のオンパレード
- 「転んで腰が痛い」というおばあちゃんの腰椎CTを撮ったら、圧迫骨折だけでなく、「偶然、大動脈瘤が見つかった」「偶然、腎がんが見つかった」なんてことは日常茶飯事です。 高齢者の画像を撮る時は、「目的の場所以外にも、何か爆弾が隠れているかも?」という広い視野を持つことが大切です。
- 「せん妄」対策
- 入院したばかりの高齢者は、環境の変化に弱く、不安でいっぱいです。 薄暗いCT室やMRI室に連れて行かれると、パニック(せん妄)になってしまうことがあります。 「大丈夫ですよ、すぐ終わりますからね」といつも以上に声をかけたり、部屋を少し明るくしたりする配慮は、スムーズに検査を実施するための立派な技術なんです。
今日のまとめ
- 高齢者は「多疾患併存」。
- 症状は「非定型的」。
- 薬は「効きすぎる(副作用が出やすい)」。
- 環境の変化に弱く、すぐ「せん妄」や体調悪化を起こす。


コメント