ヨード造影剤によるアナフィラキシーに対しアドレナリンを筋注する場合、最も適している部位はどれか。
- 殿 部
- 下腿部
- 上腕部
- 前腕部
- 大腿部
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
5.大腿部
解説
✔ アナフィラキシー=「大腿前外側部」一択!
より正確には、太ももの外側にある「大腿前外側部」の外側広筋という筋肉を狙います。
これは「日本医学放射線学会・造影剤使用ガイドライン」だけでなく、世界中の蘇生ガイドラインで第一選択として推奨されている鉄則です。
✔ なぜ「太もも」なのか?(腕やお尻じゃダメな理由)
アドレナリンは、ショック状態(血圧低下・喉の浮腫み)を一瞬で改善できる唯一の特効薬です。 一刻も早く全身に薬を回す必要があります。
- 吸収スピードが最速
- 研究データによると、「大腿部(太もも)」への筋肉注射が、上腕(腕)への筋注や、皮下注射よりも血中濃度の上昇が圧倒的に早いことが分かっています。
- 上腕部:三角筋は筋肉量が比較的少なく、皮下脂肪が厚い人もいるため、確実性に欠けることがあります。
- 殿部:お尻は皮下脂肪が厚く、薬が筋肉まで届かず「皮下注射」になってしまうリスクが高いです。また、坐骨神経を傷つける恐れもあります。
- ショック時でも血流が保たれる
- アナフィラキシーショックになると、末梢(手足の先)の血管は収縮し、血の巡りが悪くなります。
- しかし、体の中心に近い大きな筋肉である「大腿四頭筋(外側広筋)」は、ショック時でも比較的血流が保たれており、薬が全身に回りやすいのです。
よって、「太い筋肉があり、吸収が早く、安全に打てる」という理由で、大腿部が選ばれます。
出題者の“声”

この問題は、君たちが「チーム医療の一員」として動けるかを試しておる。
「技師は注射を打てないから関係ない」と思っておるなら大間違いじゃ。 CT室で患者が意識を失った時、医師が「アドレナリン!」と叫んで駆けつけてくる。 その時、君が「腕まくり」をさせていたらどうじゃ? 医師は「違う! 足!」と、ズボンを下ろす手間をかけなければならん。 この数秒のロスが、患者の生死を分けることもある。
「自分が打つわけではないが、打つためのお膳立て(ポジショニング)をするのは自分だ」。 その当事者意識があるかどうかが、この一問に表れるんじゃよ。
臨床の“目”で読む

現場での技師の動きはこうなります。
- 異常発生時のシミュレーション
- 患者さん:「気持ち悪い…息が苦しい…」(SPO2低下、血圧低下、意識レベル低下) 技師A:「先生呼んで! カート持ってきて!ハリーコールお願いします!」(患者さんをガントリから出しながら)「足、出しますね!」
- ここで「バスタオルをかけてズボンを下ろす(または捲り上げる)」。 これだけで、アドレナリン投与が必要な場合、駆けつけた医師は即座に大腿部に注射を打つことができます。
- エピペン(自己注射薬)の知識
- 蜂毒アレルギーなどで患者さんが持っている「エピペン」も、打つ場所は「太ももの外側」です。「太もも=命を救う場所」。このイメージを焼き付けておきましょう。
今日のまとめ
- アナフィラキシー時のアドレナリン筋注は「大腿部(大腿前外側部)」が第一選択。
- 理由は、筋肉が大きく血流が豊富で、吸収スピードが一番早いから。
- 上腕や殿部は吸収が遅いため推奨されない。
- 技師は打てないが、「太ももを出す準備」をすることで救命のリレーをつなげる!


コメント