中脳に位置するのはどれか。
- 海 馬
- 黒 質
- 被 殻
- 淡蒼球
- 乳頭体
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
2.黒 質
解説
✔ 「機能」と「住所」を分けて考えよう
この問題の最大の罠は、「黒質」が機能的には「大脳基底核」の仲間であるということです。
教科書では、大脳基底核のメンバーとして以下の5つを習います。
- 尾状核
- 被殻
- 淡蒼球
- 視床下核
- 黒質
これらは「運動の調節(アクセルとブレーキ)」をする同じチーム(機能)です。 しかし、住んでいる場所(解剖学的な位置)は違います。
- 尾状核・被殻・淡蒼球 ➡ 住所は「大脳(終脳)」
- 視床下核 ➡ 住所は「間脳」
- 黒質 ➡ 住所は「中脳」
つまり黒質は、「中脳に住みながら、大脳のチーム(基底核)へリモートワークしている」ような存在なのです。
✔ 他の選択肢の住所は?
- 海馬 ➡ 大脳(側頭葉内側面)
- 記憶の司令塔。大脳辺縁系の一部です。
- 被殻 / 淡蒼球 ➡ 大脳(深部)
- これらは解剖学的にも正真正銘の大脳基底核(レンズ核)です。
- 乳頭体 ➡ 間脳(視床下部)
- 脳の裏側、視床下部の後ろ端にポコッとついている2つのふくらみです。
出題者の“声”

この問題は、「言葉の定義」と「空間的位置」を区別できているか試しておる。
「黒質=大脳基底核」と丸暗記している学生は、「基底核なんだから大脳にあるに決まってる」と思い込んで自滅する。 しかし、CT/MRIのアキシャル(横断面)画像を思い出してごらん。 中脳のレベル(ミッキーマウスの形をした断面)に、黒く帯状に見える部分がある。 あれが黒質じゃ。
「名前の分類(カテゴリー)」だけでなく、「実際の画像でどこに写っているか」を常に画像のイメージを持って解剖用語を覚えてほしいんじゃよ。
臨床の“目”で読む

中脳と黒質は、臨床画像において極めて重要なチェックポイントです。
- 「中脳のミッキーマウス」
- CT/MRIの横断面で中脳を切ると、有名な「ミッキーマウスサイン」が見えます。
- 耳の部分:大脳脚(運動神経の束)
- 顔の部分:被蓋
- この「耳」と「顔」の境目にあるのが「黒質」です。スライス位置を決めるとき、「お、ミッキーが出たからここは中脳だな」と判断する重要なランドマークになります。
- パーキンソン病と黒質
- 黒質は「ドーパミン」という神経伝達物質を作っています。 この黒質の細胞が壊れてドーパミンが出なくなるのが「パーキンソン病」です。 通常のMRIでは黒質は見えにくいですが、最近は「ニューロメラニン強調画像」や「定量的磁化率画像(QSM)」など、この黒質の変性を可視化する特殊な撮像法も研究されています。
今日のまとめ
- 黒質の住所は「中脳」。(機能は大脳基底核チーム)
- 被殻・淡蒼球の住所は「大脳」。
- 乳頭体の住所は「間脳(視床下部)」。
- CT・MRIで中脳は「ミッキーマウスの形」に見える。
- 黒質はパーキンソン病(ドーパミン欠乏)の責任病巣である。


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