減数分裂を生じる細胞が存在するのはどれか。
- 胸 腺
- 小 脳
- 精 巣
- 脾 臓
- 副甲状腺
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
3.精 巣
解説
✔ 「コピー」か「割り算」か
私たちの体で行われている細胞分裂には、大きく分けて2つの種類があります。
- 体細胞分裂 =「コピー」
- 皮膚、内臓、骨など、体を成長させたり修復したりするための分裂。
- 染色体の数は変わりません(46本 ➡ 46本)。
- 胸腺、脾臓、副甲状腺など、ほとんどの臓器はこれです。
- 減数分裂 =「割り算」
- 子孫を残すための特別な分裂です。
- 染色体の数を半分にします(46本 ➡ 23本)。
- これが起きるのは、人間の体で「精巣(精子を作る)」と「卵巣(卵子を作る)」の2箇所だけです。
✔ なぜ半分に減らすの?
もし、精子(46本)と卵子(46本)が合体したら、赤ちゃんは「92本」の染色体を持つことになり、人間ではなくなってしまいます。 だから、合体する前にあらかじめ半分(23本)に減らしておく必要があるのです。
- 精子(23本)+ 卵子(23本)= 受精卵(46本)
この「数を合わせるための準備」をしているのが精巣です。
✔ 各選択肢について
1.胸 腺
- ❌ 誤り
- 免疫細胞(リンパ球)を作ったり増やしたりする場所ですが、行うのは「体細胞分裂」です。
2.小 脳
- ❌ 誤り
- 神経細胞の塊です。生まれた後はほとんど分裂しません。
4.脾 臓
- ❌ 誤り
- 免疫細胞(リンパ球)を作ったり増やしたりする場所ですが、行うのは「体細胞分裂」です。
5.副甲状腺
- ❌ 誤り
- ホルモンを出す内分泌器官です。通常の「体細胞分裂」しかしません。
出題者の“声”

この問題を見て「減数分裂=性腺は放射線に弱いから防護しろってことね」と単純に反応したなら、その知識は少し古いかもしれん。
実は今、国際的には「ルーチンの性腺防護は原則不要」という方向に大きく舵が切られておる。 しかし、だからといって「減数分裂なんてどうでもいい」わけではない。むしろ逆じゃ。
なぜ、かつて性腺は組織加重係数が「0.20」と高く設定され、絶対守るべき聖域とされていたのか? それは、この「減数分裂」による遺伝的影響のリスクが理論的に懸念されていたからじゃ。 そして、なぜ今、係数が「0.08」に下がり、防護不要論が出ているのか? それは研究の結果、減数分裂への影響が当初の想定よりも小さいと分かったからじゃ。
この議論を正しく理解するには、そもそもの出発点である「減数分裂とは何か」を知らなければならん。 ただマニュアル通りに防護をやめるのではなく、「なぜ昔は必要とされ、なぜ今は変わったのか」。 その「理屈の土台」を持っているかを、この基礎問題で確認しているんじゃよ。
臨床の“目”で読む

現場では今、この知識を使った「説明能力」が問われています。
- 「防護しない」が現代のスタンダード
- かつては「減数分裂=遺伝的影響が怖い」という図式から、鉛プロテクターの使用が常識でした。 しかし現在は、以下の理由から「小児・成人ともに原則推奨しない」という方針に変わっています。
- 鉛が邪魔をしてAEC(自動露出制御)が誤作動し、逆に線量が増えるリスクがある。
- 診断領域の線量では、遺伝的影響の実効リスクは極めて低いことが分かった。
- 再撮影になるリスクの方が患者さんの不利益になる。
- かつては「減数分裂=遺伝的影響が怖い」という図式から、鉛プロテクターの使用が常識でした。 しかし現在は、以下の理由から「小児・成人ともに原則推奨しない」という方針に変わっています。
- 患者さんへの説明責任
- 現場の方針が変わっても、患者さんの知識は「生殖器は守るもの」で止まっていることが多いです。 「防護してくれないんですか?」と聞かれた時、どう答えますか? 「今はやらなくていいんです」と突っぱねるのは三流です。基礎医学(減数分裂)と防護の歴史を理解した上で 「昔は遺伝子(減数分裂)への影響を心配して防護していましたが、現在は研究が進み、防護すことによるエラーや再撮影のリスクの方が高いことが分かっています。きれいに一度で撮るために、あえて防護せずに撮影しますね」と説明します。
「減数分裂」を知っているからこそ、「なぜ今は防護しないのか」を論理的に説明できる。 この問題は、そのための共通言語なのです。
今日のまとめ
- 減数分裂は、染色体を半分(2n ➡ n)にする分裂。
- これを行うのは、体の中で「精巣」と「卵巣」だけ!


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