副腎皮質ステロイドの副作用で誤っているのはどれか。
- 糖尿病
- 高血圧症
- 骨粗鬆症
- 尿管結石
- 誘発性感染症
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
4.尿管結石
解説
✔ ステロイドは「非常事態宣言」だと思え!
副腎皮質ステロイド(コルチゾール)は、本来私たちの体の中で作られているホルモンです。 このホルモンの役割を一言で言うと、「敵と戦うための『戦闘モード(ストレス対抗)』スイッチ」です。
原始時代、マンモスに襲われた時(非常事態)を想像してください。 生き残るために体はどう変化すべきでしょうか?
- エネルギーが必要だ!
- ➡ 血液中の糖分(ガソリン)を一気に増やせ! ➡ 副作用:糖尿病(高血糖)
- 全身に血液を送れ!
- ➡ 血圧を上げてポンプをフル稼働させろ! ➡ 副作用:高血圧症
- バイ菌と戦っている場合じゃない!
- ➡ 今はマンモスから逃げるのが優先。免疫システム(炎症反応)は一時停止! ➡ 副作用:誘発性感染症(易感染性)
- 材料が足りないなら骨から溶かせ!
- ➡ とにかく今のエネルギーを作るために、骨や筋肉を分解して栄養にしろ! ➡ 副作用:骨粗鬆症
このように、ステロイドの副作用は全て「生き残るための無理なドーピング」の結果なのです。
✔ 仲間外れを探せ
上記の「戦闘モード」のストーリーに当てはまらないものが一つだけあります。
- 4. 尿管結石 ステロイドが原因で尿管に石ができるという直接的な副作用は、代表的なものではありません。
出題者の“声”

この問題は、「患者さんの背景(リスク)」を見ているか試しておる。
レントゲン室には、リウマチや膠原病(こうげんびょう)などで、長期間ステロイドを飲んでいる患者さんがたくさん来る。 彼らの体は、薬によってボロボロになっておるかもしれん。 「ちょっとぶつけただけで骨折する(骨粗鬆症)」 「風邪をうつされただけで肺炎になる(易感染性)」
この薬の怖さを知っていることは、患者さんのためにも最低条件なんじゃよ。
臨床の“目”で読む

我々放射線技師にとっても、ステロイドは非常に身近な薬です。
- 造影剤アレルギーの予防薬
- 「以前、造影剤でアレルギーが出たことがある」という患者さんに、造影CTを行う場合があります。 その時、検査の数時間前などに投与されるのが「ステロイド(プレドニンなど)」です。 なぜか? ステロイドには「免疫(炎症)を抑える」いう強力な作用があるため、アレルギー反応を未然に防いでくれるからです。(これを前投薬と言います)
- 圧迫骨折の患者さん
- 「重い物を持っただけで背中が痛くなった」という高齢女性の腰椎MRI。 画像を見ると、いつもの圧迫骨折…と思いきや、カルテには「喘息でステロイド長期内服中」の文字。 これは「ステロイド性骨粗鬆症」による骨折の可能性が高いです。 このタイプの骨は、見た目以上にスカスカで脆いです。 撮影台に移乗する際、優しく介助しないと、第二の骨折を作ってしまうリスクがあります。
今日のまとめ
- ステロイドは体の「戦闘モード(非常事態)」スイッチ。
- 血糖値アップ ➡ 糖尿病
- 血圧アップ ➡ 高血圧
- 免疫ストップ ➡ 感染症にかかりやすい
- 骨を分解 ➡ 骨粗鬆症
- ステロイドを飲んでいる患者さんは、骨折と感染に要注意!


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