NEW!【第76回 午前 62】膵臓が生んだ最強の空腹時ホルモン!名前の由来を完全解剖

基礎医学大要

膵臓から分泌されるのはどれか。

  1. グルカゴン
  2. サイロキシン
  3. プロラクチン
  4. アルドステロン
  5. プロゲステロン

出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)


1.グルカゴン


解説

✔ 膵臓は「血糖値のコントロールタワー」

人膵臓という臓器は、消化液(膵液)を出すだけでなく、血糖値を調節する重要なホルモン工場でもあります。 その工場(ランゲルハンス島)には、2人の対照的な作業員がいます。

  • インスリン(β細胞):血糖値を下げる担当(食後に出る)。
  • グルカゴン(α細胞):血糖値を上げる担当(空腹時に出る)。

この2つはセットです。 「Glucose(グルコース:ブドウ糖)」が「Gone(ゴン:行く・出る)」。 つまり、蓄えていた糖を血液中に放出させて、血糖値を上げるのがグルカゴンです。のです。


✔ 各選択肢について

他の選択肢も、名前の由来を知っていれば怖くありません。

2.サイロキシン

  • 誤り
  • サイロキシン(Thyroxine):英語でThyroid甲状腺のこと。
  • つまり、甲状腺から出る代謝アップホルモンです。

3.プロラクチン

  • 誤り
  • プロラクチン(Prolactin)Lactinは「Lactation(授乳・ミルク)」のこと。
  • お乳を作るホルモンなので、脳の下垂体前葉から出ます。

4.アルドステロン

  • 誤り
  • これは少し難しいですが、「副腎皮質」から出るホルモンです。
  • 体内の塩分(ナトリウム)を調節して血圧を保ちます。(※ステロイドの親戚です)

5.プロゲステロン

  • 誤り
  • ProgesteroneGestation「妊娠」という意味。
  • 妊娠を維持するためのホルモン(黄体ホルモン)なので、卵巣から出ます。

出題者の“声”

この問題は、「体の恒常性(ホメオスタシス)」の仕組みを理解しているか試しておる。

特に「膵臓」は、現代病である糖尿病に関わる超重要臓器じゃ。 「インスリン」を知っている学生は多いが、その逆の働きをする「グルカゴン」を知らないと、低血糖で患者が倒れた時に何が起きているか理解できん

「上がったら下げる、下がったら上げる」。 このシーソーのようなバランス感覚こそが、生理学の基本なんじゃよ。


臨床の“目”で読む

この知識は、救急時の特効薬として使われます。

  • 低血糖時の「グルカゴン注射」
    • 糖尿病の患者さんがインスリンを打ちすぎて、逆に血糖値が下がりすぎた時(低血糖)、意識を失ってしまうことがあります。 そんな時、緊急で血糖値を上げるために打つ注射が「グルカゴン」です。 また、「胃の検査(バリウムやCT)」の時に、胃の動きを一時的に止める薬としてグルカゴンを使うことがあります(鎮痙剤)。 「血糖値を上げるホルモン」が「胃の動きを止める薬」としても使われています。
  • 膵臓の腫瘍を探せ
    • 膵臓にできる腫瘍は「膵がん」だけではありません。 インスリンを出しすぎる「インスリノーマ」や、グルカゴンを出しすぎる「グルカゴノーマ」という腫瘍(神経内分泌腫瘍)があります。 これらを見つけるためには、造影CTのタイミングを調整する必要があります。 「ホルモンを出す腫瘍だから、血流が豊富かも?」 そんな想像力が、診断の質を高めるのです。

今日のまとめ

  1. グルカゴン膵臓(A細胞)から出て、血糖値を上げる
  2. インスリン膵臓(B細胞)から出て、血糖値を下げる
  3. サイロキシン ➡ Thyroid(甲状腺)。
  4. プロラクチン ➡ Lactation(授乳=下垂体)。
  5. プロゲステロン ➡ Gestation(妊娠=卵巣)。

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