NEW!【第76回 午前 75】グラフの読み取りで勝負あり? オームの法則の交流バージョン!

理工学・放射線科学

交流電源の起電力の時間的変化を図に示す。

この交流電源を 0.10 μF のコンデンサに接続したとき流れる電流の最大値[mA]に最も近いのはどれか。

  1. 2
  2. 3.9
  3. 7.9
  4. 16
  5. 31

出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)


5.31


解説

この問題を解くためのカギは、「グラフから必要な数字を拾う」「単位を揃える」「交流のオームの法則にあてはめる」3ステップです。一つずつクリアしていきましょう!

✔ ステップ1:グラフから「最大電圧」と「周期」を読み取る

グラフから読み取るべき情報は2つだけです。

  1. 最大電圧(Vm)山のてっぺんの縦軸の値です。 グラフを見ると、一番高いところが「100」になっていますね。 つまり、最大電圧 Vm = 100 [V] です。
  2. 周期(T)波が1回振動する(1つの山と1つの谷を作る)のにかかる時間です。 0 からスタートして、最初の山のてっぺんが「0.5」です。ここは波の「1/4」の地点です。 1/4 で 0.5 ということは、丸々1個分(1周期)は「0.5 × 4 = 2.0」になります。 ※山のてっぺん(0.5)から次の山のてっぺん(2.5)までの間隔を計算して「2.5 − 0.5 = 2.0」と求めてもOKです!

ここで絶対に忘れてはいけないのが、横軸の単位「ms(ミリ秒)」です。「ミリ」は「10-3」なので、周期 T = 2.0 × 10-3[s] になります。

✔ ステップ2:角周波数(ω:オメガ)を求める

波のスピードを表す「角周波数(ω)」を求めます。 公式は ω = 2π / T です。(1周分の角度 2π を、1周にかかる時間 T で割るという意味です)

さきほどの周期を代入すると、 ω = 2π / (2.0 × 10-3) 2と2.0が約分されて消えるので、 ω = π × 103[rad/s] になります。

✔ ステップ3:交流バージョンの「オームの法則」で計算!

直流の回路では「電流 = 電圧 ÷ 抵抗」ですよね。 交流の回路でも考え方は全く同じです。ただ「抵抗」の名前が「リアクタンス」に変わるだけです。 「電流 = 電圧 ÷ コンデンサのリアクタンス」になります。

コンデンサのリアクタンス(Xc)の公式は Xc = 1 / ωC です。 これをオームの法則にあてはめると、

最大電流(Im) = 最大電圧(Vm) ÷ Xc 最大電流(Im) = 最大電圧(Vm) × ωC となります。

(※「1 / ωC」で割るので、ひっくり返って掛け算になるのがポイントです!)

あとは数字を代入するだけです。 ここで第二の罠、コンデンサの容量 C は「0.10 μF(マイクロファラド)」です。 「マイクロ」は「10-6」なので、C = 0.10 × 10-6 [F] です。

全部掛け算しましょう!

  • Im = 100 × (π × 103) × (0.10 × 10-6)
  • Im = (100 × 0.10) × π × 10(3 − 6)
  • Im = 10 × π × 10-3 [A]

ここで、問題文は「何 mA(ミリアンペア)ですか?」と聞いています。 「10-3 [A]」は、そのまま「mA」のことです! つまり、 Im = 10 × π [mA]

π(円周率)は約 3.14 なので、 Im = 10 × 3.14 = 31.4 [mA]


出題者の“声”

の問題は、「単位の接頭語(m、μ、kなど)」にどれだけ注意を払えるか、そして「グラフから物理現象を読み取れるか」を試しておる。

数式だけを丸暗記している学生は、「ω=2πf」は知っていても、グラフから周波数(f)や周期(T)を見つけることができずパニックになる。 そして、横軸の「ms」や、コンデンサの「μF」を見落として、答えが1000倍ずれたりしてしまうんじゃ。

医療現場では、ミリ(10-3)とマイクロ(10-6)の桁間違いは、患者さんの命に関わる重大な医療事故に直結する。 ただの計算問題ではなく、「単位を正確に扱う注意力」を見るための、とても実務的な問題なんじゃよ。


臨床の“目”で読む

-コンデンサに流れる交流電流なんて、X線撮影に関係あるの?-

実は、X線発生装置(インバータ式装置など)の内部では、この「コンデンサ」と「交流」が主役として働いています。

コンデンサのリアクタンス(抵抗のようなもの)の式 「Xc = 1 / ωC」 をよく見てください。 ω(周波数)が大きくなればなるほど、分母が大きくなるので、Xc(抵抗)は小さくなります。 つまり、「コンデンサは、周波数が高い(波が速い)交流ほど、電流をよく通す」という性質を持っています。

X線装置では、商用電源(50Hz/60Hz)を一度直流にし、そこからインバータ回路を使って「数万Hz(高周波)」という非常に速い交流を作り出します。高周波にすることで、コンデンサやトランスなどの部品をものすごく小さく(抵抗を少なく)でき、装置全体をコンパクトに、かつ大出力にすることができるのです。

計算式の裏には、私たちが毎日使っている最新のX線装置を小型化するための、偉大な電気工学の工夫が隠されています。


今日のまとめ

  1. 周期(T) = グラフの1回分の波の長さ。「ms(ミリ)」を見落とさない!
  2. 角周波数(ω) = 2π / T
  3. コンデンサのリアクタンス Xc = 1 / ωC
  4. 交流のオームの法則! 電流は 「電圧 ÷ Xc」 (つまり V × ωC になる!)

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