診療放射線技師が診療の補助で実施できない行為はどれか。
- 下部消化管検査のために肛門にカテーテルを挿入する。
- 上部消化管検査のために鼻腔にカテーテルを挿入する。
- 造影剤を投与するために当該造影剤注入装置を操作する。
- 画像誘導放射線治療のために肛門にカテーテルを挿入する。
- 核医学検査のために静脈路に放射性医薬品を投与するための装置を接続する。
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
2.上部消化管検査のために鼻腔にカテーテルを挿入す
解説
✔ 2021年の「タスク・シフト/シェア」とは?
近年、医師の長時間労働を減らすために、「医師じゃなくても安全にできる仕事は、専門の医療職(技師や看護師など)に任せよう!」という国の大きな動きがありました。
これにより、2021年に診療放射線技師法が改正され、診療放射線技師ができる業務(診療の補助行為)が大幅にドンと追加されました。
この問題は、その「新しくできるようになったこと」と「やっぱりやっちゃダメなこと」を見分ける問題です。
✔ カテーテル挿入の「鼻はNG、お尻はOK」の法則
選択肢1、2、4には「カテーテルを挿入する」という行為が並んでいます。 ここでの判断基準は「誤って挿入した時のリスク(危険度)の大きさ」です。
- お尻(肛門)からの挿入は OK!
- 下部消化管検査(注腸X線検査)でバリウムを入れたり、前立腺がんの放射線治療(画像誘導放射線治療:IGRT)で直腸にバルーンを入れたりするための「肛門からのカテーテル挿入」は、法改正で新たに認められました。 直腸は一本道なので、比較的安全に行えるからです。
- 鼻(鼻腔)からの挿入は NG!
- 上部消化管(胃など)へ向けて鼻からチューブを入れる行為は、誤って「気管(肺への空気の通り道)」に入ってしまうリスクがあります。もし気管に造影剤を入れてしまったら、患者さんは窒息や重篤な肺炎を起こして命に関わります。 このように高度な医学的判断と危険を伴うため、鼻腔からのカテーテル挿入は現在でも医師や看護師などにしか認められていません。
✔ 「造影剤・薬のルート」に関する業務拡大
法改正により、造影剤や放射性医薬品(RI)を投与するための行為が大きく広がりました。
- 造影剤注入装置(オートインジェクター)の接続や操作は OK!
- CTやMRI検査で、すでに確保されている静脈ルート(点滴の管)に機械を接続し、ボタンを押して操作することは明確に認められています。(※さらに、検査のための静脈路の確保=針を刺す行為自体も、条件付きで認められるようになりました!)
- 核医学検査の薬を投与するための装置の接続も OK!
- 以前はRIの注射は医師や看護師しかできませんでしたが、現在は静脈路への接続や操作が技師にも認められています。
出題者の“声”

この問題は、「自分のライセンス(免許)で守れる命と、侵してはいけない領域」を正確に理解しているかを試しておる。
「医師の働き方改革だから、技師がどんどん手伝えばいい」と軽く考えてはいけない。 法改正で業務が拡大されたということは、同時に「その行為に対する重い責任を技師が負うようになった」ということじゃ。
なぜ肛門は良くて、鼻腔はダメなのか? 法律の条文をただ字面で暗記するのではなく、その裏にある「気管誤嚥のリスク」という解剖学的・生理学的な理由を理解してほしいのじゃ。
臨床の“目”で読む

現場の放射線技師の働き方は、この2021年の法改正を境に劇的に変わりました。
以前は、CT室で造影剤の点滴ルートを取るためだけに、看護師さんを呼んだり、医師の手が空くのを待ったりして、検査がストップしてしまうことがありました。 しかし現在は、所定の研修(タスク・シフト/シェアに関する厚生労働省指定の講習会)を受けた放射線技師であれば、自ら患者さんの腕に針を刺してルートを確保し、インジェクターを繋いで、抜針して止血するまでをすべて単独で完結できるようになっています。
もちろん技師の仕事は増えて大変になりますが、現在どこの病院も人手不足が深刻な状況というところが多いので、技師の業務拡大はより貴重な戦力としての地位を高めるチャンスでもあると思います。
今日のまとめ
- 2021年法改正(タスク・シフト)で、技師ができる「診療の補助」が大幅に追加された!
- 肛門(直腸)への挿入は OK!(注腸検査、IGRTのバルーンなど)
- 鼻腔への挿入は、気管に入るリスクが高いため NG(できない)
- 造影剤やRIの「静脈路の確保(針刺し)」「装置の接続」「操作」「抜針・止血」が OK になった!


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