複数個の個人被ばく線量計を装着するのはどれか。2つ選べ。
- 全身に均等に被ばくする場合
- 放射線防護衣を着用する血管造影検査の業務
- 眼の水晶体が体幹部よりも多く被ばくする場合
- 放射線業務従事者の内部被ばく線量を測定する場合
- 妊娠中の女性が従事する不均等被ばくを生じない業務
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
2.放射線防護衣を着用する血管造影検査の業務
3.眼の水晶体が体幹部よりも多く被ばくする場合
解説
✔ 基本のルール「線量計はどこに1つ付ける?」
放射線業務を行う際、まずは「体幹部」に1つ線量計を付けるのが大原則です。 なぜなら、造血器などの重要な臓器が集中しており、全身の被ばく(実効線量)を代表する場所だからです。
- 男性・妊娠の可能性がない女性 ➡ 胸部(一番被ばくしやすい場所)
- 妊娠中の女性・妊娠の可能性がある女性 ➡ 腹部(胎児を守るため)
選択肢1のように「全身に均等に被ばくする場合」や、選択肢5のように「妊娠中で均等に被ばくする場合」は、この1個の装着だけでOKです。
✔ 「不均等被ばく」が起きる時は複数個!
体の場所によって被ばく量が大きく違うことを「不均等被ばく」と呼びます。この場合、1個のバッジだけでは全身の正確な被ばく量が計算できなくなるため、複数個の装着が義務付けられています。
- 防護衣を着用する場合
- 血管造影(アンギオ)検査などで鉛の「防護衣」を着ると、体幹部(胸やお腹)はしっかり守られます。しかし、防護衣から出ている「頭」や「腕」には、患者さんからの散乱線が当たります。 この極端な不均等被ばくを正確に測るため、「防護衣の下(胸または腹)」に1つ、さらに「防護衣の上(頭・頸部)」に1つ、合計2つの線量計を装着しなければなりません。
- 眼の水晶体が多く被ばくする場合
- X線管球の近くで作業する場合など、足元よりも顔の近くに多くの散乱線が飛んでくることがあります。特に「眼の水晶体」は白内障を起こしやすいため、体幹部よりも水晶体の被ばくが多くなる恐れがある場合は、体幹部のバッジに加えて、「頭・頸部(首輪や保護メガネ付近)」にもう1つ線量計を付ける必要があります。
✔ 内部被ばくは?
私たちが胸や首に付けているガラスバッジなどは、あくまで体の外から飛んでくる放射線を測る「外部被ばく」用の線量計です。 体の中に入ってしまった放射性物質からの「内部被ばく」を測るには、ホールボディカウンタという巨大な装置に入ったり、尿などを検査するバイオアッセイ法を使います。
出題者の“声”

この問題は、「なぜ法律で複数個のバッジを付けろと決められているのか」という物理的な理由を理解しているか問うておる。
単に「防護衣=2個」と暗記するだけでは不十分じゃ。 防護衣を着た状態というのは、「鉛で守られた安全地帯(体幹部)」と「無防備な危険地帯(頭頸部)」が同時に存在する、非常に複雑な放射線場なんじゃ。 この大きなギャップ(不均等)がある時に、1つの線量計の数値だけで全身のダメージを計算してしまうと、過小評価または過大評価になってしまう。だからこそ、それぞれにバッジを付けて、特殊な計算式で正確な「実効線量」を割り出す必要があるんじゃよ。
臨床の“目”で読む

近年、臨床現場で最もホットな話題が、この「眼の水晶体の被ばく管理」です。
たとえば、血管造影(IVR)の現場では、医師は患者さんのすぐそばに立ってX線を照射し続けます。 この時、患者さんの体から四方八方に跳ね返る「散乱線」が、スタッフの上半身、特に「眼」を直撃します。
最近の法改正により、水晶体の被ばく限度は「1年間に150 mSv」から「1年間に20 mSv」へと、劇的に厳しく引き下げられました。これに伴い、水晶体の被ばくを正確にモニタリングするため、防護衣の外側(首元)や、防護メガネに直接取り付けるタイプの小さな線量計を装着することが、現在の医療現場のルールとなっています。
今日のまとめ
- 基本ルール:均等被ばくなら 「体幹部(胸 or 腹)に1つ」!
- 複数個(2つ以上)必要になる「不均等被ばく」のケース
- 防護衣を着る時
- 水晶体が多く被ばくする時


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