バイオアッセイ法で正しいのはどれか。
- 遮へい体を使用する。
- γ線放出核種を対象とする。
- 微量の放射性核種は検出できない。
- ホールボディカウンタを使用する。
- 生体試料を分析して放射性核種の摂取量を算出する。
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
5.生体試料を分析して放射性核種の摂取量を算出する。
解説
✔ 「バイオアッセイ法」ってどんな検査?
体の中に放射性物質を取り込んでしまった場合(内部被ばく)、それが体内にどれくらい残っているのかを直接測ることは簡単ではありません。 そこで、患者さんの尿、便、血液、呼気(吐く息)、鼻水(鼻スミア)などの「生体試料」を採取し、その中に含まれる放射性物質の量を化学的に分析します。
「これだけ尿に混ざって出てきたということは、体の中にはこれくらい取り込まれているはずだ!」と、計算(薬物動態モデルなどを使用)によって全身の被ばく量を逆算する方法を「バイオアッセイ法(in vitro測定法)」と呼びます。
✔ なぜバイオアッセイ法が必要なの?
「わざわざ尿や便を検査しなくても、外から機械を当てて測ればいいのでは?」と思うかもしれません。
確かに、γ線を出す核種であれば、体の中から外へγ線が突き抜けてくるため、体の外から機械(ホールボディカウンタ)を当てるだけで測れます。
しかし、α線やβ線しか出さない核種(プルトニウムやストロンチウムなど)は「物を突き抜ける力(透過力)」が弱いため、体内で放出されても皮膚や組織でストップしてしまい、体の外まで飛んできません。つまり、外から機械を当てても全く測れないのです! そのため、α線やβ線を出す核種による内部被ばくを測るには、体外に出てきた排泄物を調べる「バイオアッセイ法」が主な対象となります
✔ 他の選択肢は一つの主役「ホールボディカウンタ」との引掛け
1.遮へい体を使用する。
- ❌ 誤り
- これはホールボディカウンタの特徴です。微弱なγ線を測るため、環境中の自然放射線(ノイズ)を遮断する分厚い「鉄や鉛の部屋(遮へい体)」の中に患者さんに入ってもらって測定します。
3.微量の放射性核種は検出できない。
- ❌ 誤り
- バイオアッセイ法は、採取した試料を放射化学的に分離・濃縮して高感度な検出器で測るため、極めて微量の放射性核種でも検出可能です。
4.ホールボディカウンタを使用する。
- ❌ 誤り
- 「バイオアッセイ法」と「ホールボディカウンタ」は、内部被ばくを測る別々の方法です。一緒に使うわけではありません。
出題者の“声”

この問題は、「内部被ばくの2大測定法(ホールボディカウンタとバイオアッセイ)の特徴を、ごちゃ混ぜにせず理解しているか」を試しておる。
- γ線のように外に飛び出してくるものは、ホールボディカウンタで直接測る。
- α線やβ線のように体の中に留まってしまうものは、バイオアッセイで間接的に測る。
この「測定原理の棲み分け」を物理的な理由(透過力の違い)から理解していれば、選択肢がどんなに入れ替わっていても、一瞬で嘘を見抜けるはずじゃよ。
臨床の“目”で読む

普通のX線撮影やCT検査しか行わない一般の病院では、内部被ばくの心配がないため、バイオアッセイ法やホールボディカウンタのお世話になることはありません。
しかし、皆さんが「核医学検査室(RI施設)」や、「原子力発電所・研究所」などの最前線で働くことになったら、この知識は自分の身を守るために必須となります。
たとえば、核医学治療(アイソトープ治療)などで大量の非密封RI(液体の放射性物質)を扱う際、誤って吸い込んだり口に入ってしまったりする事故(内部取り込み)が起きるリスクが常にあります。
万が一の放射線事故の際に、正しい初動対応をとるための重要な知識なのです。
今日のまとめ
- 内部被ばくの測定法は2つ!
- ホールボディカウンタ(体外測定法)
- バイオアッセイ法(体外排出物測定法)
- バイオアッセイ法の特徴
- 尿や便などの生体試料を分析して逆算する!
- 外から測れないα線やβ線放出核種に有効!
- 化学分析するので、極めて微量でも検出可能!
- ホールボディカウンタの特徴
- 体を突き抜けてくるγ線放出核種が対象!
- 周りのノイズを防ぐため、分厚い「遮へい体」の部屋で測る!


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