保守点検計画を策定すべきX線装置はどれか。
- X線CT装置
- 移動形X線装置
- 透視用X線装置
- 乳房用X線装置
- 口内法用X線装置
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
1.X線CT装置
解説
✔ 特定保守管理医療機器(薬機法)とは?
- 目的:保守点検や修理が適切に行われないと、患者に重大な影響を及ぼす可能性がある機器を国が指定する制度。(薬機法第2条)
- 対象:今回選択肢にあるX線装置は、すべてこれに該当します。これらは専門的な知識・技術を持つ者による保守点検が必要。
✔ 保守点検計画の策定(医療法)とは?
- 目的:医療安全を確保するため、特に生命維持に直結したり、診断の中核を担ったりする一部の特定の医療機器について、病院の管理者に「保守点検計画」を策定し、実施・記録することを義務付ける制度。(医療法施行規則第1条の11)
- 対象:厚生労働省の通知で具体的にリストアップされており、その中に「医用X線CT装置」は含まれていますが、他の一般撮影装置などは含まれていません。
✔ 厚生労働省の通知より:策定が必要とされる医療機器の例(一部抜粋)
✔ 各選択肢について
1. X線CT装置
- ✅ 正解
- 厚生労働省の通知により、医療法に基づく「保守点検計画の策定義務」の対象機器として明確に指定されています。
2.移動形X線装置
- ❌ 誤り
- 「特定保守管理医療機器」であり保守点検は必要。
- ただし、「保守点検計画の策定」が法律で義務付けられている機器には含まれていません。
3.透視用X線装置
- ❌ 誤り
- 「特定保守管理医療機器」であり保守点検は必要。
- ただし、「保守点検計画の策定」が法律で義務付けられている機器には含まれていません。
4.乳房用X線装置
- ❌ 誤り
- 「特定保守管理医療機器」であり保守点検は必要。
- ただし、「保守点検計画の策定」が法律で義務付けられている機器には含まれていません。
5.口内法用X線装置
- ❌ 誤り
- 「特定保守管理医療機器」であり保守点検は必要。
- ただし、「保守点検計画の策定」が法律で義務付けられている機器には含まれていません。
出題者の“声”

この問題の狙いは、医療機器の保守管理について、「保守点検が必要であること」と「保守点検“計画”の策定が法的に義務であること」の違いを、明確に区別できているかを確認することじゃ。
選択肢にある装置は、どれも安全な使用のために保守点検が欠かせない。しかし、医療法でわざわざ「計画を立てなさい」とまで義務付けられているのは、その中でも特にリスクが高い、ごく一部の装置なのじゃ。その代表例がX線CT装置というわけじゃな。
「どの装置も点検は大事だから、全部計画が必要だろう」と考えてしまうと、この問題の罠にはまる。
「法律上の“義務”は何か」と問われていることを意識し、法令に基づく知識の正確性を試した一問じゃったぞ。
臨床の“目”で読む

X線CT装置が「保守点検計画」の策定義務の対象であることは、その臨床的な重要性を物語っています。CTは現代の画像診断の中核であり、その性能が維持されていなければ、診断の質、ひいては患者さんの治療方針に直接影響を及ぼします。
- 保守点検計画で定めること:点検を実施する担当者、点検の項目と基準、実施周期、記録方法など。
- なぜ計画が必要か:「点検のやり忘れ」や「担当者による内容のバラつき」を防ぎ、誰が見ても分かる形で、装置が常に安全な状態であることを客観的に証明するためです。
私たち放射線技師は、日常点検を行うだけでなく、
- 「このCT装置の保守点検計画書はどこに保管されているか?」
- 「計画通りに、いつ、誰が、何を実施したかの記録は残っているか?」
- 「何か不具合があったとき、その計画や記録をすぐに参照できるか?」 といった管理体制全体を把握しておくことが重要です。
たとえ点検作業をメーカーに委託していても、その計画を策定し、適切に実施されていることを管理する最終的な責任は、病院側にあります。「業者任せ」ではなく、安全管理体制の当事者として関わる意識が、不可欠なのです。
キーワード
- 保守点検計画
- 医療法
- 薬品医療機器等法(薬機法)
- 特定保守管理医療機器
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