電離性の電磁放射線はどれか。
- α線
- β線
- γ線
- 中性子線
- マイクロ波
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
3.γ線
解説
✔ 電磁放射線と粒子線
- 電磁放射線(電磁波): 正体が「波」。エネルギーの流れです。(例: γ線、X線、マイクロ波)
- 粒子線: 正体が「粒子」。物質の粒が飛んできます。(例: α線、β線、中性子線)
✔ 電離性と非電離性
- 電離性放射線:原子から電子を弾き飛ばす力がある。(例: α線、β線、γ線、X線、中性子線)
- 非電離性放射線:イオン化する力はない。(例: マイクロ波、赤外線、可視光線)
✔ 各選択肢について
1. α線
- ❌ 誤り
- 粒子線 & 電離性
2.β線
- ❌ 誤り
- 粒子線 & 電離性
3.γ線
- ✅ 正解
- 電磁放射線 & 電離性
4.中性子線
- ❌ 誤り
- 粒子線 & 電離性
5.マイクロ波
- ❌ 誤り
- 電磁放射線 & 非電離性
出題者の“声”

この問題は、放射線学の入り口じゃ。難しくはないが、ここでの分類があやふやな者は、この先の応用問題で必ずつまずく。
ワシが試したかったのは、「頭の中の引き出しは、きちんと整理されておるか?」ということじゃ。
「電離放射線」という引き出しと、「電磁放射線」という引き出し。この2つを正確に区別し、それぞれの引き出しに何が入っているかを答えられるか。
「α線もβ線も電離するじゃないか!」と焦って選んだ者は、「電磁放射線」という条件を見落としておる。 「マイクロ波も電磁波だ!」と考えた者は、「電離性」という条件を見落としておる。
問題を注意深く読み、2つの条件を同時に満たすものを冷静に探す。基礎力とは、そういう力のことじゃ。
臨床の“目”で読む

この放射線の分類は、そのまま臨床現場での「使い分け」と「安全管理」に直結しています。
このように、我々放射線技師は、「どの放射線を、何の目的で使うか」を常に意識しています。
- X線(電離性電磁波)を使って体を透過させ、画像を作る(CT、レントゲンなど)。
- RF波(非電離性電磁波)を使って水素原子を共鳴させ、画像を作る(MRI)。
- γ線(電離性電磁波)を体内から検出し、機能を見る(SPECT)。
- 重粒子線(電離性粒子線)をがんに集中させ、治療する。
それぞれの放射線の「正体」と「性質」を理解しているからこそ、適切な装置の選択、画質の最適化、そして何より安全な防護管理が可能になるのです。
今日のまとめ
- 放射線は2つの軸、①粒子線か電磁波か、②電離性か非電離性か、で分類する。
- 問題が求める「電離性の電磁放射線」の代表は、γ線とX線である。
- α線・β線・中性子線は「粒子線」、マイクロ波は「非電離性の電磁波」なので誤り。
- この分類は、CT・MRI・核医学・放射線治療といった、臨床現場での放射線の使い分けに直結している。
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