電流の大きさが2 A(実効値)で、位相が電圧より30°だけ進んでいる正弦波交流回路がある。
この回路の電圧が0 Vの瞬間の電流の大きさ[A]はどれか。
- 0
- √2 / 3
- √2 / 2
- √2
- 2√2
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
4.√2
解説
✔ ゴール:特定の瞬間の「電流の高さ」を求める
この問題は、常に大きさが変化している交流について、「電圧が0Vになった、まさにその瞬間」の電流の値(瞬時値)を求める問題です。 これを解くには、以下の3ステップで考えます。
- Step 1: 電流の「最大値」を求める。
- Step 2: 電圧と電流の「位相(タイミングのズレ)」を理解する。
- Step 3: 瞬時値の式に当てはめて計算する。
✔ Step 1: 実効値から最大値を求める
問題で与えられている「2A」は、家庭用コンセントの100Vなどと同じ実効値です。
瞬時値を計算するには、まず波のテッペンである最大値(ピーク値)を求める必要があります。
- 最大値 = 実効値 × √2
- 電流の最大値 Imax = 2 × √2 = 2√2 A
✔ Step 2: 位相の関係を理解する
「位相が電圧より30°進んでいる」とは、電流の波が、電圧の波より30°早くスタートしているイメージです。
- 今回知りたいのは、「電圧が0Vの瞬間」です。
- 電圧の波がちょうど0からスタートする瞬間(位相0°の時点)を考えます。
- そのとき、電流の波はすでに30°分だけ進んでいるので、電流の位相は30°となります。
✔ Step 3: 瞬時値を計算する
ある瞬間の電流の大きさ i
は、次の式で求められます。
- i = 最大値 × sin(その瞬間の位相)
Step 1とStep 2で求めた値を代入すると、
- i = (2√2) × sin (30°)
- sin (30°) = 1/2 なので、
- i = 2√2 × (1/2) = √2 A
したがって、正解は √2 となります。
出題者の“声”

この問題は、交流理論の基本が身についておるかを試す、シンプルな一問じゃ。
じゃが、3つの重要な関門を用意しておいた。
- 実効値と最大値の変換
- まず、与えられた「2A」をそのまま使わずに、√2を掛けて最大値に変換できるか。
- 位相の理解
- 「電圧が0V」の瞬間に、電流の位相が「30°」だと見抜けるか。「電圧が0なら電流も0」というのは、位相がズレていない場合の話じゃ。
- 三角関数の計算
- 最後に、sin(30°) = 1/2 という基本的な計算をこなせるか。
これら3つの関門を突破できれば、確実に得点できる。
一つひとつの知識は単純じゃが、それらを組み合わせて正解までたどり着けるかが、実力の差となって現れるのじゃよ。
臨床の“目”で読む

我々放射線技師が、日常業務で回路の瞬時値を計算することはありません。しかし、この交流理論は、私たちが毎日使っている高度な医療機器の土台そのものです。
- 機器の安定稼働と電力
- X線装置、CT、MRIといった大型装置は、安定した大きな電力を必要とします。電圧と電流の位相の関係は、装置がどれだけ効率よく電力を消費できるかを示す「力率」に直結します。力率が悪い(位相のズレが大きい)と、無駄な電流が流れてしまい、電力供給設備に大きな負担をかけます。これが、大型医療機器に専用の電源設備が必要となる理由の一つです。
- 電気的安全性
- 機器の内部では、常に電圧と電流が複雑に変化しています。この基本的な性質を理解しておくことは、万が一の漏電や装置の不具合に気づき、電気的な安全性を確保する上での基礎知識となります。
この一問は、普段何気なく使っている装置が、いかに精密な電気工学の原理の上で成り立っているかを再認識させてくれる良い機会と言えるでしょう。
今日のまとめ
- 瞬時値を求めるには、まず実効値から最大値を計算する(最大値 = 実効値 × √2)。
- 「電圧が0Vの瞬間」など、基準となる瞬間の位相を正確に捉える。
- 瞬時値の式 i = Imax × sin(その瞬間の位相) に当てはめて計算する。
- この交流理論は、私たちが使う医療機器の電力効率や安全性を支える基本原理である。
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