乳房超音波像を示す。乳腺組織はどれか。

- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
3.ウ
解説
✔ この画像の特徴と基本知識
この画像は、乳房の縦断面における超音波画像です。乳房超音波では、表層から深層にかけての層構造を正しく理解することが読影の基本です。
典型的な層構造は:
- 皮膚
- 皮下脂肪
- 乳腺組織
- 後乳腺脂肪層
- 大胸筋
✔ 各選択肢について
1. ア
- 皮下脂肪層
- 低エコーで、内部に高エコーの線(結合組織の隔壁)を含む。
2.イ
- 皮下脂肪層+クーパー靱帯
- クーパー靱帯は放射状に走る線維性構造で、乳腺の支持構造。
3.ウ
- 乳腺組織
- 中等度~やや高エコーで、粒状または粗造な構造が特徴。脂肪層に挟まれる形で位置する。
4.エ
- 後乳腺脂肪層
- 乳腺の下層に位置し、低エコー。腫瘍浸潤の深達度評価にも関わる重要な層。
5.オ
- 大胸筋
- 最深部にある筋肉。筋膜で縁取られ、内部はストライプ状の構造が見られる。
出題者の“声”

この問題では、乳腺エコーの層構造を理解できておるかを試しておるのじゃ。
「皮膚 → 脂肪 → 乳腺 → 後脂肪 → 大胸筋」という基本の順番を、なんとなくではなく、エコーの強さとパターンで説明できるかどうかがポイントじゃ。
このあたりを押さえていないと、イとウ(脂肪と乳腺)で迷ってしまったんじゃないかのう…ふふ、わしの思うツボじゃ。
乳腺は脂肪に囲まれておるが、中間的なエコーで、独特のざらついた粒状パターンを示すんじゃ。これが見分けのカギになる。
また、腫瘍による構造の押し上げ・変形・断裂を見抜くには、この基本層構造の理解が必須じゃぞ!
臨床の“目”で読む

乳腺エコーは、健診や精密検査で広く行われる非常に実践的なモダリティです。
特に若年女性では乳腺が発達しており、乳腺層が厚く、脂肪との境界があいまいになることもよくあります。
そのため、構造を深さだけでなくエコーパターンでも見分ける力が重要になります。
乳腺組織は、周囲の脂肪に比べてざらついた中等度エコー~高エコーを呈し、密度や分布パターンにも個人差があるので、層ごとの位置関係と質感のイメージを持っておくと、病変の位置評価もスムーズになります。
キーワード
- 乳房超音波検査
- 乳腺組織
- 乳腺層解剖
コメント