第77回 午前 9

第77回

MRCP像を示す。結石が存在するのはどれか。

  1. 主膵管
  2. 総肝管
  3. 総胆管
  4. 左肝管
  5. 右肝管

出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)


3.総胆管


解説

✔ MRCPとは?

  • MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)は、胆道・膵管などの液体構造をT2強調画像で白く(高信号)描出する非侵襲的検査です。
  • その中に黒い影(低信号域)がある場合、それは結石や空気などの固形成分を疑う重要所見です。

✔ 今回の画像では?

  • 総胆管内に丸く明瞭な低信号(黒)領域が認められ、典型的な結石所見と判断されます。

✔ 各選択肢について

1. 主膵管

  • 十二指腸乳頭へつながる細い膵管。
  • 画像右下に細く見える構造で、今回の黒影とは位置が異なる

2.総肝管

  • 左右肝管が合流した部位で、胆嚢管の上流側
  • 今回の病変はより下流の総胆管に位置。

3.総胆管

  • 総肝管と胆嚢管の合流後の下流部。
  • 結石が最も好発する部位のひとつ。

4.左肝管

  • 肝臓左葉にある肝内胆管で、異常所見は認められない

5.右肝管

  • 肝臓右葉にある肝内胆管で、異常所見は認められない。

出題者の“声”

この問題では、MRCP画像を見て「黒い影=結石」と見抜けるか、そして「肝内胆管 → 総肝管 → 総胆管」の流れが理解できておるかを確認したかったのじゃ。

結石は信号を出さんから、白い胆管の中にぽっかり黒く抜けた影として現れるんじゃよ。

それとな、総胆管と総肝管の見分け方として大事なのが、胆嚢との合流点より上か下かなんじゃ。

ここを“なんとなくの位置”で選んでおるようでは、解剖の理解がまだまだ甘いかもしれんのう。


臨床の“目”で読む

総胆管結石は胆道系で最も頻度が高く、臨床的に重要な病変です。

MRCPは造影剤不要で胆道・膵管を評価でき、閉塞・狭窄・結石のスクリーニングに最適

ポイントは、高信号(白)の中に抜ける黒い影=結石の可能性と判断すること。
また、「どの管にあるか」を正しく判断するには、分岐・合流の位置関係をしっかり理解することが大切です。

特に、胆嚢管との合流より上なら総肝管、下なら総胆管。この原則は、MRCP読影の基本中の基本です。


キーワード

  • MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)
  • 総胆管結石

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