¹⁸F を 200 MBq 投与直後に患者から 2 m の距離で 5 分間、年間 50 回対応した
放射線業務従事者の年間被ばく線量[µSv]に最も近いのはどれか。
ただし、¹⁸F の実効線量率定数は0.14 µSv・m²・MBq⁻¹・h⁻¹ とする。
- 30
- 60
- 120
- 240
- 480
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
1.30
解説
✔ 計算の「3ステップ」をマスターせよ!
この問題は、放射線防護の3原則「時間・距離・遮蔽」のうち、「時間」と「距離」を使った典型的な計算問題です。 複雑に見えますが、以下の3ステップで機械的に解けます。
- STEP 1:まずは「1時間あたりの線量(線量率)」を出す
- ここでの主役は「実効線量率定数」と「距離の逆2乗則」です。
- 線量率 = 定数×放射能/距離の二乗 ←この公式に数値を代入します。
- 線量率=0.14×200/22= 7〔μSv/h〕
- つまり、この患者さんの2m横に1時間立ち続けると、7μSv 被ばくするということです。
- STEP 2:トータルの「対応時間」を計算する(単位に注意!)
- 次に、年間でどれくらいの時間、患者さんのそばにいたかを計算します。
- 合計時間(分):5分× 50回 = 250分
- ここで最大の注意点! 線量率の単位は「/h(時間)」なので、分のままでは計算できません。必ず「時間(h)」に直します。
- 250分/60分=4.17時間
- STEP 3:掛け算して答えを出す
- 最後に、STEP1(線量率)とSTEP2(時間)を掛け合わせます。
- 7〔μSv/h〕× 4.17〔h〕= 29.19〔μSv〕
出題者の“声”

この問題でワシが見たかったのは、計算能力ではない。「ここぞというとき注意力」じゃ。
国家試験最後の問題で計算を持ってくるあたりなかなかいやらしいじゃろ?
多くの学生は、0.14×200÷4=7までは出せる。
そして7×250=1750と計算してしまい、パニックになるのじゃ。
この問題は実効線量率定数の単位「 µSv・m²・MBq⁻¹・h⁻¹」をあえて親切に問題文に記載しておいてやった。これは「単位を合わせなさいよ」というメッセージなんじゃよ。
この問題はただの掛け算割り算じゃ。疲れていても落ち着いて解けば絶対に落とさないサービス問題じゃぞ。
臨床の“目”で読む

この問題のシチュエーション、PET検査(核医学検査)の現場では非常にリアルです。
- 「2メートル離れる」の意味
- 18F(FDG)を投与された患者さんは、体から 511keV という非常に強いエネルギーのガンマ線を出しています。鉛のエプロンを着ても、このエネルギーだと突き抜けてしまうことが多いです(遮蔽効果が薄い)。だからこそ、我々技師にとって最強の防御は「距離」なんです。計算式でも「距離の2乗」で効いてきましたよね? 1m離れるのと2m離れるのでは、被ばく量は4分の1になります。現場では「用がないなら離れる!」が鉄則です。
- 線量限度との比較
- 計算結果は約 30µSv(0.03mSv)でした。放射線業務従事者の線量限度は「5年で100mSv(年平均20mSv)」です。これと比べると、0.03mSv というのは非常に低い値であることがわかります。適切に距離をとり、手際よく短時間で対応すれば、被ばくは十分に低く抑えられることが、この計算からも証明できるわけですね。
今日のまとめ
- 線量計算の公式:線量率 = 定数×放射能/距離2(距離の2乗を忘れるな!)
- 時間の罠に注意:定数が「毎時(/h)」なら、「分」を必ず「時間」に変換する。
- 防護の基本:PET製剤のような高エネルギー核種では、遮蔽よりも「距離」と「時間短縮」が効果的。



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