第77回 午後 35

医療画像情報学

1,024 × 2,048画素、階調数16 bit の DICOM画像のデータ量[MB]に最も近いのはどれか。
ただし、ヘッダ情報は含まないものとする。

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出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)


2. 4


解説

✔ 画像データ量の基本計算式 💾

画像のデータ量(ヘッダ情報を除く)は、以下の式で算出できます。

  • データ量 [byte] = 横の画素数 × 縦の画素数 × (階調のbit数 ÷ 8)

「階調のbit数 ÷ 8」は、1画素あたりのデータ量を[byte]に変換する計算です。

✔ 計算手順

  • 【Step 1】 条件を整理する
    • 画素数: 1,024 × 2,048 = 2,097,152 画素
    • 階調: 16 bit
    • 単位変換: 1 byte = 8 bit なので、16 bit = 2 byte
  • 【Step 2】 1枚あたりのデータ量を[byte]で計算する
    • データ量 [byte] = 2,097,152 [画素] × 2 [byte/画素] = 4,194,304 byte
  • 【Step 3】 [byte]を[MB]に変換する
    • コンピュータの世界では、キロ(K)、メガ(M)、ギガ(G)といった単位は1,024倍ごとに大きくなります。
    • 1 KB = 1,024 byte
    • 1 MB = 1,024 KB = 1,024 × 1,024 byte = 1,048,576 byte
    • したがって、 データ量 [MB] = 4,194,304 [byte] ÷ 1,048,576 [byte/MB] ≒ 4.0 MB

計算結果から、最も近い値は 4 MB となります。


出題者の“声”

この問題は、「画素数 × 1画素あたりのバイト数」という基本計算と、「bitとbyte、そしてMBの単位変換」を正確に行えるかを試す、情報科学の基本問題じゃ。

医療画像を扱う専門職として、自分が扱っているデジタルデータの「サイズ感」を持つことは極めて重要。例えば、この1枚4MBのCT画像を300スライス分集めれば、それだけで1.2GBにもなる。

PACSの容量設計や画像の転送速度を考える上で、この計算の桁を間違えることは許されんのじゃ。単純な計算問題と侮るなかれ。


臨床の“目”で読む

ー放射線技師が知っておくべきデータ量の感覚ー

  • ① ストレージ容量の設計
    • 1検査あたりのデータ量(例: CT 1件で数百MB〜数GB)を把握することは、PACSサーバーの容量計画や、長期的なデータ保存・バックアップ計画を立てる上での基礎となります。
  • ② ネットワーク転送速度の理解
    • 例えば、1Gbps(ギガビット/秒)の回線では、理論上の最大転送速度は約125MB/s(メガバイト/秒)です。4MBの画像1枚を送るのにごくわずかな時間しかかかりませんが、数百枚のシリーズ画像となると数秒以上かかります。院内のネットワーク速度を考慮し、効率的な画像転送のワークフローを考える上で、この感覚は重要です。
  • ③ 圧縮技術の適切な選択
    • 膨大なデータ量を効率的に扱うため、DICOM規格では様々な画像圧縮方式が利用できます。診断の質を落とさない可逆圧縮(データ量を約1/2に)と、データ量を大幅に削減できる非可逆圧縮(約1/10以下に)の特性を理解し、施設のルールに則って適切に運用する知識が求められます。

今日のまとめ

  1. 画像データ量 [byte] の基本式は、画素数 × (bit数 ÷ 8) である。
  2. 1,024 × 2,048画素・16 bit の画像1枚のデータ量は、約4 MB
  3. コンピュータの単位では、1 MB = 1,024 KB = 1,024 × 1,024 byte である。
  4. このデータ量の感覚は、PACSの容量設計、ネットワーク転送、画像圧縮などを考える際の基礎となる。

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