TD₅/₅で正しいのはどれか。
- 単位はSvである。
- 急性期有害事象を示す指標である。
- 肺に5 Gyが照射されている割合を表す指標である。
- 5年間で5%以下の確率で有害事象が生じる線量である。
- 5 Gyで5回照射した場合に有害事象が生じる確率である。
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
4.5年間で5%以下の確率で有害事象が生じる線量である。
解説
✔ TD₅/₅とは?:正常組織の「我慢の限界」を示す線量 🛡️
TD₅/₅(Tolerance Dose 5/5)とは、放射線治療を行う際に、周囲の正常な組織が「どれくらいの線量までなら耐えられるか」を示す、安全性のための指標です。 この記号は、以下のように分解して覚えるのが最も確実です。
- TD → Tolerance Dose(耐容線量)
- 5 → 5% の人に
- /5 → 5年間で
つまり、TD₅/₅とは「ある特定の正常組織に、ある線量を照射したとき、5年以内に5%の確率で、許容できない重篤な有害事象(晩発障害)が発生する線量」を意味します。 言い換えれば、治療後5年間、95%の人は重い副作用が出ないと期待される「安全マージン」の目安となる線量です。
✔ ✔ 重要なポイント
- 対象
- 主に、治療後数か月から数年経って現れる晩発性有害事象(神経障害、臓器の機能低下など)のリスクを示します。
- 単位
- 治療で用いる吸収線量なので、単位はGy(グレイ)です。放射線防護で用いるSv(シーベルト)ではありません。
✔ 各選択肢について
1. 単位はSvである。
- ❌ 誤り
- 単位はGyです。Svは放射線防護で用いる線量単位であり、治療の吸収線量とは区別されます。
2.急性期有害事象を示す指標である。
- ❌ 誤り
- 主に、数か月から数年後に発生する晩発性有害事象のリスクを示す指標です。
3.肺に5 Gyが照射されている割合を表す指標である。
- ❌ 誤り
- これは、線量体積ヒストグラム(DVH)で用いられるV5(5Gyが照射される体積の割合)という別の指標の説明です。
4.5年間で5%以下の確率で有害事象が生じる線量である。
- ✅ 正解
- TD₅/₅の定義そのものです。
5.5 Gyで5回照射した場合に有害事象が生じる確率である。
- ❌ 誤り
- 「5」という数字は、線量や回数ではなく、「5%」と「5年」を意味します。。
出題者の“声”

この問題の狙いは、放射線治療計画の基本用語である「TD₅/₅」の、5/5が何を意味するかを、正確に理解しておるかを問うことにある。
多くの学生が、この「5」という数字を「5Gy」や「5回」と勘違いする。そこが最大のワナじゃ。
- TD = 耐容線量
- 5 = 5%の発生確率
- /5 = 5年間の観察期間
この分解さえできれば、これはサービス問題。
このTD₅/₅は、「がんを叩く線量を、どこまで上げられるか」という上限を決める、極めて重要な概念じゃ。なぜなら、治療線量の上限は、周囲にある正常組織の「我慢の限界(耐容線量)」によって決まるからじゃ。この攻めと守りのバランス感覚こそ、放射線治療の本質じゃぞ。
臨床の“目”で読む

ーなぜ放射線技師が「TD₅/₅」を理解する必要があるのか?ー
TD₅/₅の概念は、私たちが日々作成・検証する放射線治療計画の安全性を根幹から支える考え方です。
- ① 治療計画における「線量制約」の根拠
- 治療計画を作成する際、私たちは「脊髄には最大50Gyまで」「肺のV20(20Gy以上照射される体積の割合)は30%未満に」といった線量制約(Dose Constraint)を設定します。これらの具体的な数値は、まさに各臓器のTD₅/₅などの耐容線量の知見に基づいて定められています。
- ② DVH(線量体積ヒストグラム)を読み解く力
- 治療計画の評価で用いるDVHは、各臓器にどれくらいの線量が、どれくらいの体積に当たっているかを示したグラフです。このDVHを見て、「この計画は、脊髄の耐容線量を超えていないか?」「肺の線量制約をクリアしているか?」を判断するには、TD₅/₅という背景知識が不可欠です。
- ③ GyとSvの使い分け
- 放射線治療ではGy、放射線防護ではSv。この単位の使い分けは、医療放射線を扱う専門家としての基本姿勢です。両者を混同しないことは、プロとしての信頼性の証です。
今日のまとめ
- TD₅/₅とは、「5年間」で「5%」の確率で重篤な晩発性有害事象が生じる線量のこと。
- 放射線治療における、正常組織の耐容線量(我慢の限界)を示す指標である。
- 単位はGy(グレイ)であり、Sv(シーベルト)ではない。
- 臨床現場では、各臓器のTD₅/₅を基に、治療計画における線量制約が設定される。



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