放射性壊変で正しいのはどれか。
- α壊変は質量数が2減る。
- β⁺壊変は質量数が1減る。
- β⁻壊変は原子番号が1減る。
- γ壊変は原子番号が変化しない。
- 軌道電子捕獲は質量数が1増える。
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
4.γ壊変は原子番号が変化しない。
解説
✔ 放射性壊変とは?:原子核の“変身” ⚛️
放射性壊変とは、不安定な原子核が、安定な状態になろうとして、放射線(α線、β線、γ線など)を放出して別の原子核に変身する現象です。 この変身の仕方(壊変の種類)によって、原子核の構成要素である陽子の数(=原子番号 Z)と、陽子と中性子の合計数(=質量数 A)が、決まったルールに従って変化します。
✔ 放射性壊変とは?:原子核の“変身” ⚛️

✔ 各選択肢について
1. α壊変は質量数が2減る。
- ❌ 誤り
- ヘリウム原子核(陽子2個+中性子2個)を放出するため、質量数は4減少します。
2.β⁺壊変は質量数が1減る。
- ❌ 誤り
- 原子核内で陽子が中性子に変わるだけなので、陽子と中性子の合計である質量数は変化しません。
3.β⁻壊変は原子番号が1減る。
- ❌ 誤り
- 原子核内で中性子が陽子に変わるため、陽子の数である原子番号は1増加します。
4.γ壊変は原子番号が変化しない。
- ✅ 正解
- γ壊変は、原子核のエネルギーが高い状態(励起状態)から低い状態(基底状態)へ移る際に、余分なエネルギーをγ線として放出する現象です。原子核の構成要素(陽子・中性子)の数は変わらないため、原子番号も質量数も変化しません。
5.軌道電子捕獲は質量数が1増える。
- ❌ 誤り
- 原子核内で陽子が電子を捕まえて中性子に変わるだけなので、質量数は変化しません。
出題者の“声”

この問題の狙いは、放射性壊変の5つの基本パターンの「数の変化」を、正確に記憶しておるかを問うことにある。
これは、放射線物理学の九九のようなものじゃ。 ただ暗記するのではなく、「原子核の中で何が起きているか」をイメージできるかが、記憶を定着させるコツじゃ。
- α壊変
- 塊(He原子核)が飛び出すから、ZもAも大きく減る。
- β壊変・EC
- 陽子↔中性子の変換だから、Aは変わらず、Zだけが変化する。
- γ壊変
- エネルギーの放出だけだから、ZもAも変化しない。
特に、γ壊変だけは「原子核の種類そのものは変わらない」という、特別な壊変であることを強調しておきたい。この基本を押さえていれば、どんな応用問題にも対応できるぞ。
臨床の“目”で読む

ーなぜ放射線技師が「壊変の種類」を理解する必要があるのか?ー
この知識は、私たちが扱う核医学検査、放射線治療、そして放射線防護のすべての原理に直結しています。
- ① 核医学検査の原理
- 検査の目的(診断)には、体を透過して外のカメラで検出できるγ線を放出する核種(例: ⁹⁹ᵐTc, ¹²³I)や、消滅放射線(γ線の一種)を放出するβ⁺壊変核種(例: ¹⁸F, ¹¹C)が用いられます。
- ② 放射線治療への応用
- がん治療(内用療法)には、飛程が短く、周囲の細胞に大きなダメージを与えるα壊変核種(例: ²²³Ra)や、β⁻壊変核種(例: ¹³¹I)が用いられます。
- ③ 放射線防護の基本
- 放出される放射線の種類によって、遮蔽の方法は全く異なります。
- α線:紙1枚で止まるほど弱いが、体内に入ると危険(内部被ばく)。
- β線:数mmのプラスチック板などで遮蔽。
- γ線:透過力が強いため、鉛や厚いコンクリートで遮蔽。
- 放出される放射線の種類によって、遮蔽の方法は全く異なります。
このように、どの核種がどの壊変を起こし、どんな放射線を出すかを知っていることが、安全で効果的な放射線利用の第一歩なのです。
今日のまとめ
- 放射性壊変は、原子核が安定化するために放射線を放出して変身する現象である。
- γ壊変は、エネルギー状態が変わるだけで、原子番号(Z)も質量数(A)も変化しない。
- α壊変では Z-2, A-4。β⁻壊変では Z+1。β⁺壊変・ECでは Z-1 となる。
- 各壊変で放出される放射線の種類を理解することは、核医学検査、放射線治療、放射線防護のすべての基礎となる。



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