医療機器の品質管理で正しいのはどれか。
- 不変性試験は納入業者が行う。
- 日常点検は始業点検のみである。
- 機器設置前に現状試験を実施する。
- 新規の機器設置時に受入試験を実施する。
- 医療機器安全管理責任者は医師の資格が必要である。
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
4.新規の機器設置時に受入試験を実施する。
解説
この問題は、医療機器の品質管理(QC)における「試験の種類」と「実施するタイミング・担当者」を正しく理解しているかを問う問題です。
✔ 医療機器の一生とQCの流れ 🏥
医療機器が病院に来てから使われるまでの流れをイメージすると、各試験の位置づけがスッキリ分かります。
- 【納入時】 受入試験
- 誰が?:医療機関(病院側)
- いつ?:引き渡しを受けて、臨床で使い始める前
- 何をする?:「注文通りの性能が出ているか?」「初期不良はないか?」を、ユーザーである病院側が責任を持って確認します。ここで得られたデータが、今後の管理の基準値(ベースライン)になります。
- 【使用中】 不変性試験
- 誰が?:医療機関(病院側)
- いつ?:定期的(毎日、毎月、毎年など)
- 何をする?:「性能が落ちていないか(変化していないか)?」を確認します。受入試験の基準値と比較します。
- 【使用中】 現状試験
- 誰が?:医療機関または業者
- いつ?:修理後や部品交換後など
- 何をする?:「今の状態はどうなっているか?」を確認します。
✔ 各選択肢について
1. 不変性試験は納入業者が行う。
- ❌ 誤り
- 不変性試験は、日々の性能維持を確認するものであり、医療機関(ユーザー)が責任を持って行います。業者が行うのは主に据付試験や定期点検です。
2.日常点検は始業点検のみである。
- ❌ 誤り
- 日常点検には、始業点検(朝イチ)、終業点検(業務終了後)、そして使用中点検(検査の合間など)の全てが含まれます。「朝だけ」ではありません。
3.機器設置前に現状試験を実施する。
- ❌ 誤り
- 現状試験は、「今ある機器の状態」を調べるものです。まだ設置されていない機器に対して行うことはできません。
4.新規の機器設置時に受入試験を実施する。
- ✅ 正解
- 解説の通り、新しい機器が納入された際、仕様通りかを確認し、今後の基準値を決定するために行う重要な試験です。
5.医療機器安全管理責任者は医師の資格が必要である。
- ❌ 誤り
- 医師である必要はありません。診療放射線技師、臨床工学技士、看護師、薬剤師、歯科医師などもなることができます。放射線部門では、技師長などが任命されることが一般的です。
出題者の“声”

この問題の狙いは、「品質管理(QC)は誰の責任か?」という当事者意識を問うことにある。
「高い機械を買ったんだから、管理もメーカー任せでいいだろう」 そんな考えはプロ失格じゃ。
受入試験と不変性試験は、どちらも「医療機関(ユーザー)」が行うべきもの。 特に受入試験は、「この性能で納得して買いますよ」という検収のサインでもある。ここをスルーして、後で「性能が悪い」と文句を言っても手遅れじゃ。
自分の道具の手入れと管理は自分でする。これが職人の、そして医療従事者の基本じゃよ。
臨床の“目”で読む

ーなぜ「受入試験」がそんなに重要なのか?ー
受入試験は、その装置の「生まれたての状態(ベストコンディション)」を記録する、最初で最後のチャンスだからです。
- 基準値の決定
- 例えば、CTのCT値やノイズレベルなどは、この受入試験で測定した値を「基準(ベースライン)」とします。
- 劣化の判定
- 数年後、画質が悪くなった気がした時、この「基準値」と比較して初めて、「確かにノイズが〇〇%増えている(=装置が劣化した)」と客観的に判断できます。
もし受入試験をやっていないと、何が正常なのか比較対象がなく、メーカーに修理を依頼する根拠も曖昧になってしまいます。未来のトラブル対応のために、最初のデータ取りが不可欠なのです。
今日のまとめ
- 受入試験は、新規導入時に医療機関が実施し、今後の管理の基準値を決める。
- 不変性試験は、性能が変わっていないかを確認するため、医療機関が定期的に実施する。
- 医療機器安全管理責任者は、医師以外(放射線技師など)でもなれる。



コメント