X線撮影体位を示す。撮影法で正しいのはどれか。

- Lorenz〈ローレンツ〉法
- Guthmann〈グースマン〉法
- Anthonsen〈アントンセン〉法
- Rosenberg〈ローゼンバーグ〉法
- Lauenstein〈ラウェンシュタイン〉法
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
4.Rosenberg〈ローゼンバーグ〉法
解説
この問題は、写真の体位を見て「これは何の病気を見るための、何という撮影法か?」を答える問題です。
写真を見ると、患者さんは「立ったまま(荷重)」、膝を少し「曲げて(屈曲)」います。まるでスキーのジャンプ姿勢のようなこの独特なポーズ。 これが、Rosenberg(ローゼンバーグ)法です。
✔ Rosenberg法とは?:「隠れた膝のすり減り」を見つける 🦴
変形性膝関節症(OA)では、軟骨がすり減って関節の隙間が狭くなります。しかし、普通の「膝立ち正面」撮影では、初期のすり減りを見逃してしまうことがあります。 なぜなら、膝の軟骨は「後ろ側」からすり減りやすいからです。
そこでRosenberg法の出番です。
- 立位(荷重): 体重をかけて、隙間を狭くする。
- 膝屈曲(約30〜45°): 膝を曲げることで、すり減りやすい「後ろ側」をX線の通り道に持ってくる。
- 斜入(10°尾頭方向): 関節の隙間に合わせてX線を撃ち込む。
この3点セットにより、初期の変形性膝関節症を鋭敏に見つけることができます。
✔ 紛らわしいカタカナ名を「部位」で仕分ける!
- Rosenberg(ローゼンバーグ)
- 膝
- 立位・屈曲位
- OA(変形性膝関節症)を見る。
- Lauenstein(ラウェンシュタイン)
- 股
- カエル足(開排)
- 大腿骨頭〜頸部を側面から見る。
- Lorenz(ローレンツ)
- 股カエル足の親戚(軸位)
- 股関節脱臼などを見る。
- Guthmann(グースマン)
- 骨盤産科計測。
- お産ができるか骨盤の広さを測る。
- Anthonsen(アントンセン)
- 足
- 踵(かかと)の関節(距骨下関節)を見る。
✔ 各選択肢について
1. Lorenz〈ローレンツ〉法
- ❌ 誤り
- 股関節の撮影法です。Lauenstein法と似ていますが、X線の入射角などが異なります。
2.Guthmann〈グースマン〉法
- ❌ 誤り
- 骨盤計測(ザイツ法、マルティウス法、グースマン法)の一つです。妊婦さんの骨盤の入口・出口の広さを測るためのもので、膝ではありません。
3.Anthonsen〈アントンセン〉法
- ❌ 誤り
- 足首(距骨下関節)を見る撮影法です。
4.Rosenberg〈ローゼンバーグ〉法
- ✅ 正解
- 解説の通り、膝関節の荷重屈曲撮影です。
5.Lauenstein〈ラウェンシュタイン〉法
- ❌ 誤り
- 股関節の撮影法です。仰向けで膝を曲げてガバっと開く(カエル足)姿勢が特徴的です。
出題者の“声”

この問題の狙いは、カタカナの名前をただ暗記しているかではなく、「実際のポジショニング(患者さんのポーズ)」が頭に入っているかを問うことにある。
写真の患者さんは、「立って、膝を曲げている」。 この「荷重」と「屈曲」というキーワードから連想できるのは、膝のRosenberg法しかない。
- Lauenstein(ラウェンシュタイン)やLorenz(ローレンツ)は、寝て、股を開くポーズ。
- Rosenberg(ローゼンバーグ)は、「立って、膝を曲げる」ポーズ。
この「ポーズの違い」さえイメージできていれば、名前が似ていても迷うことはないはずじゃ。
臨床の“目”で読む

ー整形外科医が「ローゼンバーグで!」と頼む理由ー
膝が痛い患者さんが来たとき、普通のレントゲン(立位正面)では「異常なし」に見えることがあります。 しかし、患者さんは「階段を降りる時(=膝を曲げて体重がかかる時)が痛い」と訴えます。
まさにその「痛い姿勢」を再現して撮影するのがRosenberg法です。
この撮影をすると、普通のレントゲンでは見えなかった「関節の隙間の消失(軟骨のすり減り)」がハッキリ写ることが多々あります。 「早期発見のための、決定的な一枚」。それがRosenberg法なのです。
今日のまとめ
- Rosenberg法は、膝関節の立位・荷重・屈曲(30〜45°)撮影である。
- 目的は、変形性膝関節症(OA)の早期発見(膝の後ろ側の観察)。
- LauensteinとLorenzは「股関節」。
- Guthmannは「骨盤計測」。
- Anthonsenは「足首(距骨下関節)」。



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