足部のX線写真を示す。破線で示すのはどれか。

- MP関節
- DIP関節
- PIP関節
- Chopart〈ショパール〉関節
- Lisfranc〈リスフラン〉関節
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
5.Lisfranc〈リスフラン〉関節
解説
この問題は、足のレントゲン写真を見て、「関節のライン(境界線)」の名前を答えさせる問題です。 足の関節名は、「つま先から、かかとに向かって」順番に整理すると、地図のように覚えられます。
✔ 足の関節マップ:つま先から順番に 🦶🗺️
足の骨は、大きく分けて「指の骨(趾骨)」「足の甲の骨(中足骨)」「足首周りのブロック状の骨(足根骨)」の3つのエリアがあります。
- 指の関節(DIP, PIP, MP)
- 手と同じです。一番先端がDIP、次がPIP、指の付け根がMP関節です。
- リスフラン関節(Lisfranc)
- 「足の甲の長い骨(中足骨)」と「ブロック状の骨(足根骨)」のつなぎ目。
- 別名:足根中足関節
- ショパール関節(Chopart)
- 距骨・踵骨(後ろ側)と、舟状骨・立方骨(前側)の間。
- 別名:横足根関節
✔ 各選択肢について
1.MP関節
- ❌ 誤り
- 中足指節関節。 足の指の付け根です。
2.DIP関節
- ❌ 誤り
- 遠位指節間関節。 足の指の第一関節(爪のすぐ下)です。
3.PIP関節
- ❌ 誤り
- 足の指の第二関節です。
4.Chopart〈ショパール〉関節
- ❌ 誤り
- リスフラン関節よりも、もっと足首(かかと)寄りにある関節ラインです。 距骨・踵骨(後ろチーム)と、舟状骨・立方骨(前チーム)を分けるラインです。
5.Lisfranc〈リスフラン〉関節
- ✅ 正解
- 5本の中足骨(足の甲の骨)の根元にある関節ラインです。
出題者の“声”

この問題の狙いは、「リスフランとショパールの位置関係」を正確に把握しておるか、この一点に尽きる。 多くの学生が、「どっちが前で、どっちが後ろだったっけ?」と混乱する。
足の「かかと(体の中心(中枢)側)」から「つま先(体の末梢)」に向かって…
- Chopart(ショパール)
- Lisfranc(リスフラン)
「C → L」の順番。これだけじゃ。 アルファベットの早い「C」が中枢側、遅い「L」が末梢側。 この「C→L」の順序さえ覚えておけば、地図で迷うことはないぞ。
臨床の“目”で読む

ー「ただの捻挫」だと思ったら大怪我だった!?ー
リスフラン関節損傷の怖いところは、「見た目はただの足の甲の捻挫に見える」ことです。 レントゲンを撮っても、パッと見では骨が折れていないように見えることが多く、見逃されやすいのです。
- なぜ「立って」撮るのか?
- 寝て撮ると、骨と骨の隙間が閉じていて正常に見えます。 しかし、「立って体重をかける(荷重)」と、靭帯が切れている場合、骨と骨の間が体重でグニャッと広がります。 この「隠れた隙間」をあぶり出すために、医師はあえて「痛いけど立って撮って」とオーダーするのです。
- どこを見るべき?
- 「第2中足骨(足の人差し指の根元)」に注目します。 ここは足の骨の「鍵穴(ロック)」のような場所です。ここのラインが少しでもズレていたら、「あ、ロックが外れている(=大怪我だ)」と気づくことができます。
今日のまとめ
- 破線のラインは、中足骨と足根骨の境界=リスフラン関節。
- リスフラン(前・指寄り)とショパール(後・かかと寄り)の位置関係を区別する。
- MP・PIP・DIPは足の指の関節。
- リスフラン損傷はレントゲンで見逃しやすいため、第2中足骨のライン(ズレ)に注意する。



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