骨盤部のCT像を示す。矢印で示すのはどれか。

- 子宮
- 精巣
- 直腸
- 膀胱
- 卵巣
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
1.子宮
解説
この問題は、女性骨盤のCT画像を見て、臓器の位置を特定できるかを問う問題です。 骨盤内の臓器は、前から後ろに向かって、決まった順番で並んでいます。
✔ 骨盤臓器の鉄則:「前・中・後」のサンドイッチ 🥪
女性の骨盤内は、以下の3つの臓器がサンドイッチのように並んでいます。
- 【前方】 膀胱
- 一番お腹側(前)にあります。
- 中身は尿(水)なので、単純CTでは黒っぽく(低吸収)写ります。
- 【中央】 子宮
- 膀胱と直腸の間に挟まれています。
- 筋肉の塊なので、白っぽいグレー(軟部組織濃度)で写ります。
- 【後方】 直腸
- 一番背中側(後ろ)にあります。
- 中身に便やガスを含むため、黒い空気の像が混じることが多いです。
今回の画像を見ると、矢印が指しているのは、
- 一番前の「膀胱(黒っぽい)」の後ろにあり、
- 一番後ろの「直腸(ガスあり)」の前にある、
- 白っぽいグレーの塊です。
この位置と濃度から、真ん中にある「子宮」であると判断できます。
✔ 各選択肢について
1.子宮
- ✅ 正解
- 解説の通り、膀胱と直腸の間に位置する筋肉質の臓器です。
2.精巣
- ❌ 誤り
- 精巣は体外(陰嚢内)にあるため、このレベルの骨盤内CTスライスには写りません。
3.直腸
- ❌ 誤り
- 子宮のさらに後ろ(背側)に位置します。内部にガス(真っ黒)を含んでいることが多いのが特徴です。
4.膀胱
- ❌ 誤り
- 子宮のさらに前(腹側)に位置します。尿が溜まっているため、子宮より黒く(水濃度)見えます
5.卵巣
- ❌ 誤り
- 卵巣は通常、子宮の両サイド(側方)に位置します。矢印のように体のド真ん中(正中)に見えることは稀です。
出題者の“声”

この問題の狙いは、「骨盤内の臓器の並び順」が頭に入っているか、ただそれだけじゃ。
形を覚える必要はない。「前から順に、膀胱 → 子宮 → 直腸」。
このイメージを持っていれば、矢印が「真ん中」を指していることは一目瞭然じゃろう?
卵巣を選んだ者は、「女性骨盤だから…」と勘で答えたのがバレバレじゃ。卵巣はもっと脇役(サイド)にいることを忘れてはならんぞ。
臨床の“目”で読む

ー子宮は骨盤の「ランドマーク(目印)」ー
臨床現場で女性の骨盤CTを読むとき、まず最初に探すべきなのが子宮です。なぜなら、子宮は骨盤の中央にどっしりと構えており、他の臓器を探すための基準(ランドマーク)になるからです。
- 卵巣を探す
- 子宮を見つけて、そこから左右に血管(卵巣動静脈)を追っていくと、少し離れた場所に卵巣が見つかります。卵巣はいきなり探そうとしても、腸管と紛らわしくてなかなか見つかりません。
- 病変の発見
- 子宮は「子宮筋腫」という良性腫瘍が非常にできやすい臓器です。CTで見ると、子宮の中にゴツゴツしたコブがあったり、真っ白な石灰化があったりすることがよくあります。これらは日常的によく遭遇する所見なので、正常な子宮の形と位置を知っておくことが第一歩です。
今日のまとめ
- 女性骨盤の臓器配置は、前から順に「膀胱 → 子宮 → 直腸」のサンドイッチ構造。
- 子宮は、膀胱の後ろ・直腸の前にある、筋肉濃度(グレー)の臓器である。
- 膀胱は尿(水)で黒っぽく、直腸はガスで黒く見えることが多い。
- 卵巣は側方にあり、正中にはない。
- 骨盤CT読影では、まず子宮(ランドマーク)を見つけることから始める。



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