JIS 規格診断用 MR 装置用ファントムの構成部品を図に示す。z に直交する面(xy 面)の撮影で点検する項目はどれか。
- 均一性
- 空間分解能
- スライス厚
- 幾何学的ひずみ
- 画像コントラスト

出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
3. スライス厚
解説
✔ この図が示しているものは?
- この図は、MR装置の性能を確認するための基準「JIS T 1011」に基づくファントム(性能確認用の模型)の一部で、スライス厚を測るためのウェッジブロック(斜めの板)が示されています。
✔ なぜ斜めの板でスライス厚が測れるのか?
- 図の2つの斜めの部品(ウェッジブロック)は、あらかじめ決められた角度で作られており、これをMRで輪切り(xy面)に撮影すると、スライスが通った部分が2本の明暗の帯として画像に写ります。
- スライス厚が厚いほどこの帯は長く(幅が広く)、薄いほど短く(幅が狭く)なります。帯の幅を測り、既知の傾き角からスライス厚を計算することができます。
✔ 各選択肢について
1. 均一性
MR画像が全体としてムラなく、均一に映っているかを確認します。専用のウォーターバッグや均質な素材でできたファントムを使い、画像のどの部分でも信号の強さに偏りがないかをチェックします。
2.空間分解能
細かい構造までどれくらい見分けられるかを調べます。白黒の細い線が並んだパターンを使い、見分けられる最も細い線の間隔を測って解像度を評価します。
4.幾何学的ひずみ
画像が本来の形や位置とずれていないかを確認します。格子状のマーカーを撮影し、マス目の形や位置が歪まず正確に映っているかを調べます。
5.画像コントラスト
異なる組織や構造をどれくらい区別できるかを評価します。濃さや材質の違うファントムを使って、画像上でそれぞれがどれだけはっきり映るか(コントラストの差)を確認します。
出題者の“声”

この問題はのぅ、MR用ファントムの構成部材が何を評価しておるかを見極める力を試しておるのじゃ。
ファントムに見慣れておらん者にとって、まず目に入るのは――あの斜めの構造じゃろう。
そこでこう思うのじゃ……
「ほう、傾斜の部分を撮れば、明るさの濃淡が出るに違いない。ふむふむ、これはコントラスト評価の道具か?」
──そう思った時点で、もうワシの術中にハマっておる!
これはコントラスト評価ではない。これは、スライス厚を測るためのウェッジブロックなのじゃ。
ひっかかるのは、知識が曖昧な者。じゃが、ちゃんと勉強しておる者には――これはむしろ、サービス問題じゃよ!
臨床の“目”で読む

スライス厚の正確さって、臨床でも本当に大切なんですよね。
たとえば、小さな病変を見落とさないためには、断層の厚さが正確でないといけませんし、画像を再構成する際にも、厚みにズレがあると診断の質に影響します。
このファントム評価では、公称値の ±10%以内 または ±1 mm のいずれか大きいほうで合格とされていて、装置の据え付け時や年1回の定期点検では必ずチェックする項目になっています。
……ただ、実際にやってみると意外と手順がややこしいんですよね。
それにファントムって、思っているより高価なんです。種類によっては数十万~数百万円もすることもあるので、大事に扱って、長く使えるようにしたいですね。
キーワード
- JIS T 1011 ファントム
- ウェッジブロック(Slice-profile wedge)
- スライス厚
- QA(品質管理)
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