白血球で無顆粒球はどれか。2つ選べ。
- 単球
- 好酸球
- 好中球
- 好塩基球
- リンパ球
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
1.単球 5.リンパ球
解説
✔ 白血球の分類:まず「見た目」で2チームに分ける 🧬
白血球は、体内に侵入した異物から体を守る免疫細胞の総称です。その種類は多いですが、まず細胞質の中に「顆粒」(武器の詰まった袋)が見えるか見えないかで、2つの大きなチームに分類できます。
- 顆粒球チーム:細胞の中に、敵を攻撃するための武器(顆粒)がたくさん詰まっているのが特徴です。主に細菌などの急な敵に対して、すぐに駆けつけて戦う「初期防衛部隊」です。
- 好中球:最も数が多く、細菌を見つけては食べる(貪食する)頼れるリーダー。
- 好酸球:寄生虫やアレルギー反応の場面で活躍する。
- 好塩基球:アレルギー反応の伝達物質(ヒスタミンなど)を放出する。
- 無顆粒球チーム:細胞の中に目立った顆粒がなく、ツルっとした見た目が特徴です。ウイルス感染や、より専門的な免疫応答(抗体産生など)を担う「特殊部隊・司令部」です。
- 単球:血管から組織に出て「マクロファージ」に変身し、敵や死んだ細胞を掃除する大食い細胞。
- リンパ球:免疫の司令塔。ウイルスに感染した細胞を破壊したり(T細胞)、抗体を作ったり(B細胞)する超エリート。
✔ 各選択肢について
1. 単球
- ✅ 正解
- 顆粒が目立たない無顆粒球で、マクロファージに変身します。
2.好酸球
- ❌ 誤り
- 名前の通り、顆粒を持つ顆粒球チームの一員です。
3.好中球
- ❌ 誤り
- 白血球の中で最も多い顆粒球です。
4.好塩基球
- ❌ 誤り
- これも顆粒球チームの一員です。
5.リンパ球
- ✅ 正解
- 免疫の司令塔である無顆粒球です。
出題者の“声”

この問題の狙いは、白血球の分類を、単なる名前の暗記ではなく、その「見た目(顆粒の有無)」と「役割(初期防衛か、免疫応答か)」で正しく整理できているかを問うことにある。
「好中球、好酸球、好塩基球」――この“好”がつく3兄弟は、みんな武器(顆粒)を持った顆粒球チーム。 残りの「単球」と「リンパ球」が無顆粒球チーム。 このシンプルなグループ分けさえできていれば、これはサービス問題じゃ。
放射線技師としては、これらの細胞の数が異常に増えたり減ったりする病気(白血病、感染症など)や、放射線被ばくによる影響(骨髄抑制)を学ぶ上で、この分類が全ての基本となることを肝に銘じておくべきじゃ。
臨床の“目”で読む

ーなぜ放射線技師が白血球の分類を知る必要があるのか?ー
血液データは、患者さんの状態を把握し、安全な検査を遂行するための重要な情報源です。白血球の分類を知っていると、画像所見との関連性をより深く理解できます。
- ① 放射線被ばくの影響評価
- 放射線は、細胞分裂が活発な骨髄に大きな影響を与え、白血球を作る能力を低下させます。特に、寿命が短い好中球の数は、被ばく後に最も早く減少する指標の一つです。好中球が減ると、細菌に対する抵抗力が極端に落ちるため、感染症に厳重な注意が必要になります。
- ② 感染症の画像診断
- CTやMRIで「膿瘍(のうよう)」が疑われる画像を見たとき、血液検査で好中球の数が増えていれば、「やはり細菌感染が原因だろう」と、画像所見と臨床データが結びつきます。
- ③ 免疫力が低下した患者さんの撮影
- がん治療や臓器移植後などでリンパ球の数が少ない患者さんは、健康な人なら問題にならないような弱い病原体にも感染しやすくなります(日和見感染)。このような患者さんの胸部CTでは、カビ(真菌)やウイルスによる特殊な肺炎像が見られることがあり、その背景を知っていると読影の助けになります。
今日のまとめ
- 白血球は、細胞質に顆粒が見えるかで「顆粒球」と「無顆粒球」に大別される。
- 顆粒球:「好」がつく3兄弟(好中球、好酸球、好塩基球)。主に初期の細菌感染などと戦う。
- 無顆粒球:単球とリンパ球。より専門的な免疫応答を担う。
- 放射線技師は、放射線被ばくによる好中球の減少や、感染症における白血球の変動など、血液データと画像所見を結びつけて理解することが重要である。



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