第77回 午後 74

エックス線撮影機器学

FPDで正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 画素サイズは10〜20 μmである。
  2. I.I.に比べダイナミックレンジが狭い。
  3. パルス照射による動画撮影が可能である。
  4. X線検出から信号出力までリアルタイムに行える。
  5. 直接変換方式は間接変換方式に比べ構造が複雑である。

出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)


3.パルス照射による動画撮影が可能である
4.X線検出から信号出力までリアルタイムに行える


解説

この問題は、現在のデジタルX線撮影の主役であるFPDが、一昔前のI.I.(イメージインテンシファイア)と比べて、「何が、どう優れているのか」を正しく理解しているかを問う鉄板問題です。

FPDがI.I.に勝利した「3大メリット」さえ押さえていれば、答えはすぐに見つかります。

✔ FPDの3大メリット(I.I.との比較)

  • ダイナミックレンジが圧倒的に広い(白飛び・黒つぶれに強い)
  • 歪み(ひずみ)がない(I.I.は端が歪む)
  • リアルタイム性が高い(高速な動画撮影が得意)

✔ 各選択肢について

1. 画素サイズは10〜20 μmである。

  • 誤り
  • 一般撮影や透視用のFPDの画素サイズは、100〜200 μm程度です。 10〜20 μmというのは、マンモグラフィなどの超高精細なシステムで使われる値であり、一般的なFPDとしては小さすぎます。

2.I.I.に比べダイナミックレンジが狭い。

  • 誤り
  • FPDの3大メリット①:これは完全に逆です。FPDがI.I.を圧倒した最大の理由が、「ダイナミックレンジが非常に広い」ことです。 I.I.はすぐに白飛び・黒つぶれしていましたが、FPDは暗い部分から明るい部分まで、幅広いX線強度を一度に記録できます。

3.パルス照射による動画撮影が可能である。

  • 正解
  • FPDの3大メリット③:FPDは、X線信号を電気信号に変換する応答速度が非常に速いため、高速な動画撮影(透視)が得意です。 X線をパルス状(点滅)に照射する「パルス透視」と組み合わせることで、高画質と低被ばくを両立した動画撮影が可能です。

4.X線検出から信号出力までリアルタイムに行える。

  • 正解
  • FPDの3大メリット③ FPDは、X線が入射してからデジタル信号として出力されるまでの時間的な遅れ(ラグ)が極めて小さい設計になっています。 そのため、血管造影(IVR)などでカテーテルを操作する際も、術者の手の動きと画面の動きが一致する、ストレスのないリアルタイムな動画を提供できます。

5.直接変換方式は間接変換方式に比べ構造が複雑である。

  • 誤り
  • これもです。2つの方式の「変換ステップ」を比べれば一目瞭然です。
  • 間接変換:X線 → → 電気信号 (2ステップで複雑
  • 直接変換:X線 → 電気信号 (1ステップでシンプル
  • 直接変換方式は、X線を光に変えるシンチレータ(蛍光体)が不要なため、構造はむしろシンプルです。

出題者の“声”

この問題の狙いは、「なぜ今、FPDが主流なのか」を、I.I.との比較で説明できるかを問うことにある。

FPDの強みは?と聞かれて、 「ダイナミックレンジが広い」「リアルタイム性が高い(動画に強い)」 この2つが即答できれば、3番と4番が正解であることはすぐにわかる。

2番は、そのFPD最大の長所を「狭い」と言い切っており、論外。 5番は、「間接」と「直接」の言葉のイメージに惑わされず、「光に変換するステップが間にあるから間接」と理解していれば、間接の方が複雑だとわかるはずじゃ。

FPDの強みを正しく理解しておくことが、合格への近道じゃぞ。


臨床の“目”で読む

ーFPDが変えた「臨床現場」ー

FPDの登場は、私たち放射線技師の日常業務を劇的に改善しました。

  • ① 白飛び・黒つぶれの激減
    • I.I.の時代は、撮影条件が少しでもズレると、画像が真っ白(白飛び)になったり、真っ黒(黒つぶれ)になったりして、診断価値のない写真になりがちでした。FPDはダイナミックレンジが非常に広いため、多少の露出オーバーやアンダーでも、画像処理で救済できる「失敗の少ない」システムです。
  • ② ストレスのない血管造影(IVR)
    • I.I.は画像の「歪み」や「遅延」が大きく、カテーテル操作にストレスがありました。FPDは、歪みがなく、リアルタイム性が高いため、術者は手の動きと画面を完全に一致させて、安全かつ精密な手技を行えるようになりました。
  • ③ 低被ばくパルス透視
    • FPDの高速応答性のおかげで、X線を細かく点滅させるパルス透視が実用的になりました。これにより、動画の画質を維持したまま、患者さんと術者の被ばくを大幅に低減できるようになりました。

今日のまとめ

  1. FPDの「3大メリット」は、①広いダイナミックレンジ、②歪みがない、③リアルタイム性が高い(動画に強い)こと。
  2. ダイナミックレンジはI.I.より「広い」
  3. 構造は、光への変換ステップを挟む「間接変換」の方が「複雑」である。

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