X線CT装置の体軸方向の空間分解能に影響するのはどれか。2つ選べ。
- FOV
- スライス厚
- ピッチ係数
- X線検出効率
- マトリクス数
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
2.スライス厚 3.ピッチ係数
解説
この問題は、CT画像の「画質」を決める要素のうち、「体軸方向(Z方向=縦の細かさ)」に関わるものはどれか? を問うています。
✔ CTの画質は「2つの方向」で分けて考える 📐
CT画像は、人体の輪切り(スライス)を積み重ねてできています。そのため、画質の細かさ(空間分解能)も、以下の2方向に分けて考える必要があります。
- XY方向(面内分解能):「1枚の輪切り写真の画質」
- 1枚の画像がどれだけきめ細かいか。
- 決める要素:マトリクスサイズ、FOV、焦点サイズなど
- Z方向(体軸方向分解能):「輪切りの厚みと密度」
- どのくらいの厚さで、どのくらい細かくスライスしたか。
- 決める要素:スライス厚、ピッチ係数など
✔ Z方向(縦)の画質を決める2大要素
- ① スライス厚(Slice Thickness) 🍞
- パンの厚みと同じです。
- 薄い(例: 0.5mm):細かい病変も見逃さない(高分解能)。
- 厚い(例: 5.0mm):小さな病変は厚みの中に埋もれて平均化されてしまう(低分解能)。
- ピッチ係数(Pitch Factor) 🌀
- スライスする間隔(ベッドの進む速さ)です。
- ピッチが小さい(ゆっくり進む):データを密に集めるので、縦方向の情報が細かい(高分解能)。
- ピッチが大きい(速く進む):データを間引いて集めるので、隙間を計算で埋める必要があり、縦方向の情報がボケる(低分解能)。
✔ 各選択肢について
1. FOV
- ❌ 誤り
- FOVを小さくすると、1画素あたりのサイズが小さくなるため、XY方向(面内)の分解能が良くなります。Z方向には関係しません。
2.スライス厚
- ✅ 正解
- スライスが薄いほど、Z方向のボケが減り、分解能が向上します。
3.ピッチ係数
- ✅ 正解
- ピッチが小さいほど、Z方向のサンプリング間隔が密になり、分解能が向上します。
4.X線検出効率
- ❌ 誤り
- 検出器がいかに効率よくX線をキャッチできるかという指標です。これは画像のノイズ(SN比)や被ばく線量に関係しますが、分解能(細かさ)には直接関係しません。
5.マトリクス数
- ❌ 誤り
- 画像(XY平面)を何マスの格子で表現するか(512×512など)です。
- マトリクスが多いほど、XY方向(面内)の分解能が良くなります。Z方向には関係しません。
出題者の“声”

この問題は、 面内分解能(XY)と体軸方向分解能(Z)を混同している学生 をしっかりふるい落とす構造になっておる。
多くの学生が、「画素サイズ = FOV ÷ マトリクス」という式は覚えておるが、それはあくまでXY平面(輪切りの絵)の話じゃ。 現代のCTは3D画像が当たり前。だからこそ、Z方向(縦の細かさ)が重要になる。
- XY(横)の話か:FOV、マトリクス
- Z(縦)の話か:スライス厚、ピッチ
この「次元の違い」を整理できていない者は、FOVやマトリクスを選んで自爆するように作られておるのじゃ。
臨床の“目”で読む

ーなぜ「Z方向」の分解能にこだわるのか?ー
昔のCTは「輪切り(横断面)」を見るだけでしたが、今は「MPR(多断面再構成)」や「3D画像」が診断の主役だからです。
- ① ガタガタの画像(ステアステップ・アーチファクト)
- もし、Z方向の分解能が悪い(厚いスライスや高いピッチで撮った)データを、正面(冠状断)や横(矢状断)から見るとどうなるか? 画像がカクカクと階段状になってしまい(ステアステップ・アーチファクト)、微細な骨折線や血管の走行が全く診断できなくなります。
- ② 等方性ボクセル(Isotropic Voxel)
- 現在のCT撮影の理想は、「どの方向から見ても同じ画質」であることです。これを実現するためには、Z方向の分解能を極限まで高め、XY方向の分解能と同じにする必要があります(等方性ボクセル)。 「スライス厚 0.5mm」などの極薄スライス撮影が標準化しているのは、このためです。
今日のまとめ
- CTの空間分解能は、「XY方向(面内)」と「Z方向(体軸)」に分けて考える。
- Z方向の分解能を決めるのは、スライス厚とピッチ係数である。
- XY方向の分解能を決めるのは、FOVとマトリクス数(画素サイズ)である。
- 3D画像やMPR画像をきれいに作るためには、Z方向の高分解能化(薄いスライス・低ピッチ)が不可欠。



コメント