X線撮影における基準点・線を示す。正しい組合せはどれか。
- ア — 咽頭隆起
- イ — 剣状突起
- ウ — 肩甲骨下線
- エ — Jacoby(ヤコビー)線
- オ — 小転子

出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
2.イ — 剣状突起
解説
この問題は、レントゲン撮影の基本中の基本、「体表解剖(ランドマーク)」を正しく理解しているかを問う問題です。 放射線技師は、患者さんの体を「見て、手で触って(触知して)」撮影中心を決める場面が多くあります。だからこそ、骨の出っ張りと名前が一致していないと、仕事になりません。
✔ イは「剣状突起」 🦴
画像の「イ」が指しているのは、ネクタイのような形をした胸骨の一番下にある、尖った突起です。 これが剣状突起(けんじょうとっき)です。 みぞおちの少し上あたりで触れることができ、胸部と腹部の境界線として、撮影位置決めの重要な目印になります。
✔ 各選択肢について
1. ア — 咽頭隆起
- ❌ 誤り
- 咽頭隆起(喉頭隆起)とは、いわゆる「のどぼとけ」のことです。首にあります。
- 画像のアが指しているのは、胸骨の一番上、鎖骨の間にあるくぼみ、「頸切痕(けいせっこん)」または「胸骨柄上縁」です。
2.イ — 剣状突起
- ✅ 正解
- 胸骨の最下端です。第9〜10胸椎(T9-10)の高さに相当します。
3.ウ — 肩甲骨下線
- ❌ 誤り
- ウが指しているのは、あばら骨の下のライン、「肋骨弓」です。
- 肩甲骨下線は、背中で肩甲骨の下角を通るラインです。
4.エ — Jacoby(ヤコビー)線
- ❌ 誤り
- 最大のひっかけポイント!
- 画像の線は、骨盤の前の出っ張り(上前腸骨棘)を結んだ線、「棘間線(きょくかんせん)」です。
- Jacoby線(ヤコビー線)とは、骨盤の一番高いところ(腸骨稜)を結んだ線のことです。
5.オ — 小転子
- ❌ 誤り
- 太ももの付け根、外側でボコッと触れる硬い骨は「大転子」です。
- 小転子は、大腿骨の内側・後ろ側にあるため、体の表面からは触れませんし、正面のレントゲンでは隠れて見えにくい場所です。 「触れるのは大転子」と覚えましょう。
出題者の“声”

この問題の狙いは、「解剖学の図と、自分の体をリンクできているか」を試すことにある。 特に、選択肢エの「ヤコビー線」は、国家試験で何度も繰り返される超・頻出のひっかけじゃ。
- ヤコビー線 = 骨盤のてっぺん(腸骨稜)を結んだ線(L4レベル)。
- 棘間線 = 前の出っ張りを結んだ線。
図を見て、「あ、これは出っ張りを結んでるから、ヤコビー線じゃないな」と瞬時に見抜けるか。そこが勝負の分かれ目じゃぞ。
臨床の“目”で読む

ーなぜ「骨のでっぱり」を覚える必要があるのか?ー
レントゲン室では、患者さんの服の上から骨を触って、照射野(X線を当てる範囲)を決めます。このとき頼りになるのがランドマークです。
- 胸部撮影
- 「肩甲骨の下角(背中)」や「第7頸椎(首の付け根)」を触って、肺が切れないように位置を合わせます。
- 腹部撮影
- 「剣状突起(上端)」と「恥骨結合(下端)」を含めるように撮影します。このとき、剣状突起の位置が分かっていないと、胃や横隔膜が切れてしまいます。
- 腰椎撮影
- ヤコビー線(腸骨稜の高さ)は、第4腰椎(L4)の目安になります。 技師が撮影中心をL4に合わせる時は、触って確認する重要なラインです。
今日のまとめ
- 剣状突起は胸骨の一番下にある突起(T10レベル)。
- ヤコビー線は腸骨稜(骨盤の頂点)を結んだ線(L4レベル)。
- 大転子は外側で触れるが、小転子は内側後ろにあって触れない。
- ランドマークは「名前」だけでなく、自分の体で「場所」を触って覚えること!



コメント