GM管式サーベイメータによる表面汚染検査で正しいのはどれか。
- β線のエネルギーの測定ができる。
- 30 cm/s 程度で素早くプローブを走査する。
- 最初に時定数を短くして汚染箇所を特定する。
- 方向を問わず一定の感度でβ線を測定できる。
- 汚染防止のためプローブ全体をアルミニウムフィルタで保護する。
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
3.最初に時定数を短くして汚染箇所を特定する。
解説
✔ 汚染検査は「探す」と「測る」の2ステップ!
放射性物質がこぼれているかもしれない場所を検査する(サーベイする)時、いきなり正確な数値を測ろうとしてはいけません。 まずは「どこが汚れているか?」を見つける(探索)ことが最優先です。
そのために重要なスイッチが「時定数」です。
- 時定数が短い
- 針の動きが早い。数値はパラパラ変動するが、汚染箇所を通るとすぐに反応する。➡ 探索向き
- 時定数が長い
- 針の動きがゆっくり。数値が安定し、正確な値が読める。➡ 測定向き
つまり、最初は「時定数・短」ですばやく汚染場所を見つけ、見つけたら「時定数・長」に切り替えて値を読む。
これが鉄則です!
✔ 各選択肢について
1.β線のエネルギーの測定ができる。
- ❌ 誤り
- GM管の最大の特徴(弱点?)は、入射した放射線のエネルギーに関係なく、一律に大きなパルスを出力することです(ガイガー放電)。 つまり、「放射線が来た!」ということは分かりますが、「強い(高いエネルギーの)放射線か?」は分かりません。エネルギー測定にはシンチレーション式などが向いています。
2.30 cm/s 程度で素早くプローブを走査する。
- ❌ 誤り
- 30 cm/s は速すぎます!そんなに速く動かすと、メーターが反応する前に通り過ぎてしまいます。
- 推奨される走査速度は「5cm/s 程度」(1秒間に5cm進むくらい)。 地面を舐めるように、ゆっくりと動かすのが基本です。
3.最初に時定数を短くして汚染箇所を特定する。
- ✅ 正解
- 前述の通りです。 まずはレスポンスの良い「時定数(短)」にして、汚染箇所を特定します。
4.方向を問わず一定の感度でβ線を測定できる。
- ❌ 誤り
- GM管(特に端窓型)には、放射線が入ってくる「窓」があります。β線は透過力が弱いため、ガラス管の側面やケースの背後から入ろうとしても遮蔽されてしまいます。 必ず「窓」を汚染箇所に向けて測定する必要があります。
5.汚染防止のためプローブ全体をアルミニウムフィルタで保護する。
- ❌ 誤り
- 汚染を防ぎたい気持ちは分かりますが、アルミニウムはβ線線を遮蔽してしまいます!
- フィルタで覆ってしまうと、測りたい β線までカットしてしまい、汚染を見逃す原因になります。 汚染防止には、β線をあまり止めない「薄いプラスチック(サランラップなど)」を使用するのが一般的です。
出題者の“声”

この問題は、教科書の知識だけで頭でっかちになっていないか、実際の「取り扱い」をイメージできているかを試しておる。
特に選択肢2の「速度」と、選択肢5の「養生(保護)」は、現場を知らない学生が引っかかりやすいポイントじゃ。
「素早く検査したい」「汚したくない」という心理を突いておるのじゃよ。 しかし、物理現象(放射線のカウント)は待ってくれん。 焦って早く動かせば見逃すし、厚いカバーをかければ測れない。
「測定器の都合に合わせて人間が動く」。これが計測の基本姿勢じゃぞ。
臨床の“目”で読む

核医学検査室(RI室)で働くと、このサーベイメータは相棒のような存在になります。
特に重要なのが、解説でも触れた「音」です。
- 目よりも「耳」を使え!
- 実際の汚染検査では、ずっとメーターの針を見つめながら歩くわけではありません。
- サーベイメータのスピーカーをONにして、「カリッ…カリッ…」という音を聞きながら作業します。
- 汚染箇所に近づくと、この音が「ガリガリガリッ!」と激しくなります。
- 「時定数を短く」設定しておくと、この音の変化もダイレクトに伝わるので、非常に発見しやすいのです。
- ラップは大活躍
- 選択肢5に関連しますが、現場ではサーベイメータのプローブ(検出部)に、家庭用のラップを巻くことがよくあります。
- これは、検査対象(例えば注射器を落とした床など)にプローブが触れて、測定器自体が汚染されるのを防ぐためです。ラップ1枚程度なら、多くのβ線は通過できますからね。
- ただし、弱いエネルギーの核種(トリチウムなど)を測る場合はラップすら邪魔になるので注意が必要です。
今日のまとめ
- 汚染検査の基本手順:「時定数(短)」で探して、「時定数(長)」で測る!
- プローブの走査速度は「5cm/s」程度。焦らずゆっくり。
- GM管はエネルギー測定ができない(ただ数えるだけ)。
- 汚染防止にはアルミではなく、薄いラップなどを使う。



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