サイクロトロンによる荷電粒子線を用いる分析法はどれか。
- PIXE 法
- 直接希釈法
- 電気泳動法
- 不足当量法
- アクチバブルトレーサ法
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
1.PIXE 法
解説
✔ PIXE(ピクシー)は「加速器版の蛍光X線分析」だ!
この問題のキーワードは「サイクロトロン(加速器)」と「荷電粒子線(陽子など)」です。 これらを使って物質の成分を調べる方法、それがPIXE法(Particle Induced X-ray Emission:粒子線励起X線分析)です。
ビビることなかれ、仕組みはシンプルです。
- サイクロトロンで陽子などの「荷電粒子」を加速して、ビームにする。
- そのビームを調べたい「試料」にぶつける。
- 試料の中の原子が弾き飛ばされ、元に戻る時に「特性X線」が出る。
- そのX線のエネルギーを調べれば、「何という元素が含まれているか」が分かる!
つまり、「ビームを当てて、出てきたX線を測る」という分析法です。 非常に感度が高く、髪の毛1本からでも体内のミネラルバランスや薬物摂取歴が分かるほど強力な分析法です。
✔ 各選択肢について
1.PIXE 法
- ✅ 正解
- 上記の通り、荷電粒子線(Particle)で励起(Induced)してX線を出す(X-ray Emission)方法です。サイクロトロンなどの加速器が必須となります。
2.直接希釈法
- ❌ 誤り
- これは放射性同位元素(RI)を使った「同位体希釈分析法」の一種です。 「RIを混ぜて、薄まり具合から元の量を測る」方法であり、加速器やビームは使いません。
3.電気泳動法
- ❌ 誤り
- DNAやタンパク質の分析でおなじみ。 ゲル(寒天のようなもの)の中に試料を入れ、「電圧(電気)」をかけて移動させ、分子の大きさで分ける方法です。
4.不足当量法
- ❌ 誤り
- これも2番と同じく「同位体希釈分析法」のテクニックの一つです。 試薬をあえて少なめ(不足当量)に加えることで、分離操作を簡単にする化学的な手法です。
5.アクチバブルトレーサ法
- ❌ 誤り
- 「アクチバブル(放射能を持たせることができる)= 放射化できる」トレーサを使う方法です。
- 体や環境中には安定同位体(放射能なし)を撒いておき、後からサンプリングした試料に中性子などを当てて「放射化」して測定します。
出題者の“声”

PIXE法……知っておれば瞬殺じゃが、正直なじみの薄い言葉かもしれんのう。 しかし、この問題の真意は「PIXEを知っているか?」ということよりも、 「他の選択肢(2〜5)を、自信を持って消せるか?」 を試しておるのじゃ。
「希釈法」や「不足当量法」は、ビーカーや天秤を使う化学実験じゃ。 「電気泳動」は、寒天(ゲル)に電気を流す生物実験じゃ。 これらに、サイクロトロンのような巨大な加速器が必要だと思うか?
国試定番の基礎知識(選択肢2〜5)を使って、「これは違う」と外堀を埋めていけば、最後に残るのは得体の知れない「PIXE」だけになる。 「正体不明でも、他が絶対違うならそれが正解」。 この消去法こそが、難問に見える問題を切り抜ける最強の武器なんじゃよ。
臨床の“目”で読む

「PIXEなんて病院にないし、関係ないじゃん!」と思うかもしれません。 確かにPIXE分析そのものを病院で行うことは稀ですが、「サイクロトロン」は今や多くの大規模病院に導入されています。
- PET検査の裏側にある技術
- PET検査で使う薬剤(FDGなど)は、半減期が非常に短いため(約110分)、病院の地下にある「サイクロトロン」で作って、すぐに患者さんに投与します。 このサイクロトロンは、PIXEで使うのと同じ仕組みで、陽子などの「荷電粒子」を加速しています。
つまり、
- PET:加速した粒子をターゲットに当てて、「放射性同位元素(RI)」を作る。
- PIXE:加速した粒子をターゲットに当てて、出てくる「X線」を測って分析する。
やっていることの根っこは同じなんです。 「毎日使っているあの加速器、実は分析にも使えるんだな」と知っておいて、損はないと思います。
今日のまとめ
- PIXE法は、荷電粒子線を当てて発生する「特性X線」を測る元素分析法。
- 荷電粒子を作るために「サイクロトロン(加速器)」が必要。
- 希釈法や電気泳動法は、加速器を使わない化学・生物学的アプローチ。
- PIXEとPET用サイクロトロンは「兄弟」のような関係!



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