MRCP で高信号に描出されるのはどれか。
- 門 脈
- 肝嚢胞
- 膵実質
- 総胆管結石
- 腸間膜脂肪
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
2.肝嚢胞
解説
✔ MRCPは「止まっている水」の独壇場
MRCP(Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)の画像は、「重T2強調画像(Heavily T2WI)」と呼ばれる特殊な撮像法で作られます。
通常のT2強調画像よりも、さらにエコー時間(TE)を超・長く設定することで、
- T2値が非常に長い「液体(水、胆汁、膵液)」 → 信号が残る(真っ白)
- T2値が短い「筋肉・実質臓器」 → 信号が消える(真っ黒)
という極端なコントラストを作り出します。 さらに、脂肪抑制法を使って脂肪の信号も消してしまうため、画面上には「水っぽいもの」だけが白く浮き上がります。
✔ 各選択肢について
1.門 脈
- ❌ 誤り
- 血管の中を流れる血液は、フローボイド効果(信号消失)により「無信号(真っ黒)」になります。 また、もし流れが遅くても、周囲の臓器と同様に信号は抑制されます。
2.肝嚢胞
- ✅ 正解
- 嚢胞(のうほう)とは、中に液体(水成分)が溜まった袋のことです。 胆汁と同じく、水成分はT2緩和時間が非常に長いため、MRCPでは極めて高い信号(真っ白)として描出されます。
3.膵実質
- ❌ 誤り
- 膵臓そのもの(実質)は固形の臓器であり、液体ではありません。 重T2強調画像では信号が減衰してしまい、低信号(黒〜灰色)となり、背景に沈んでしまいます。 白く写るのは、膵臓の中を通る「膵管(膵液)」だけです。
4.総胆管結石
- ❌ 誤り
- 胆石は固形物(石)であり、水を含みません。 そのため、MRCPでは「無信号(真っ黒)」になります。 真っ白な胆汁の中に、ポカリと黒い穴(欠損像)が開いているように見えるのが、結石の所見です。
5.腸間膜脂肪
- ❌ 誤り
- 脂肪は本来T2強調画像で白く写りやすい組織ですが、MRCPでは胆管を見やすくするために、必ず「脂肪抑制」を併用します。 そのため、脂肪の信号は意図的に消去され、低信号(黒)になります。
出題者の“声”

この問題は、MRCPの原理である「水強調」の意味を理解しているかを問うておる。
MRCPは、いわば「水のマッピング」じゃ。 選択肢の中で、純粋な「液体の塊」はどれか? 門脈は血流、膵臓は肉、結石は石、脂肪は油。 これらはすべて、MRCPというフィルタを通すと黒く消える運命にある。 唯一、水風船である「肝嚢胞」だけが、胆汁と同じように白く輝き続けるんじゃ。
特に「結石」のイメージには注意じゃぞ。 X線CTでは石は白いが、MRIでは「黒い穴」として見つかる。 モダリティ(装置)が変われば、見え方も180度変わる。頭を柔らかく切り替えるんじゃ!
臨床の“目”で読む

現場では、この「白と黒」のコントラストをきれいに作るために、技師が細かく調整しています。
- 脂肪抑制が命!
- 解説にもあった通り、MRCPでは「脂肪」を消すことが極めて重要です。 もし脂肪抑制が上手くいかないと、お腹の脂肪が白く残ってしまい、それをMIP処理(3D化)した時に、胆管と重なって「どれが胆管でどれが脂肪かわからない!」という失敗画像になってしまいます。
- 膵臓の「白い影」にも要注意(膵嚢胞性腫瘍)
- 今回の正解は「肝嚢胞」でしたが、臨床では膵臓の中にも「白い丸」が見つかることがよくあります。 これは「膵嚢胞性腫瘍(IPMNやMCNなど)」の可能性があります。 これらは腫瘍ですが、中にネバネバした液体(粘液)を溜め込んでいるため、MRCPでは「真っ白(高信号)」に写るのです。 「膵臓に白いものがあったら、ただの水(嚢胞)か、それとも腫瘍か?」 MRCPは、膵管とのつながりや形を映し出し、その鑑別を行うための強力な武器でもあります。
- 「黒い影」の正体を見極める
- 逆に、胆管の中に「黒い影」を見つけた時。 これが「結石」なのか、単なる「気泡」なのか、あるいは「ポリープ」なのか。 それを鑑別するために、私たちは患者さんに体位変換(うつ伏せになってもらうなど)をお願いすることがあります。 石なら重力で動きますが、ポリープなら動きません。 MRIはただ撮るだけでなく、動かして診断に迫ることもあるのです。
今日のまとめ
- MRCPは「重T2強調画像」で、動かない液体(水)のみを高信号(白)にする。
- 肝嚢胞や膵嚢胞性腫瘍(IPMN)は液体貯留なので、高信号になる。
- 結石は、白い胆汁の中の「黒い欠損像(低信号)」として見える。
- 脂肪は脂肪抑制によって信号を消去される。
- 血管(門脈)はフローボイドにより無信号になる。



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