【第76回 午前 24】脂肪肝完全攻略!エコーで見抜く現代病のサインとは?

第76回

脂肪肝の超音波像で誤っているのはどれか。

  1. 肝表面の凹凸不整
  2. 深部のエコー減衰
  3. 肝内血管の不明瞭化
  4. 肝腎コントラストの増強
  5. 肝実質のエコー輝度の上昇

出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)


1.肝表面の凹凸不整


解説

✔ 脂肪肝は「白くて、ツルツル」

脂肪肝とは、肝細胞の中に脂肪の粒(中性脂肪)がたくさん溜まった状態です。 脂肪は超音波を強く反射する性質があるため、エコー画像では肝臓全体が「白く輝いて(高輝度)」見えます。

しかし、あくまで脂肪が溜まって「パンパンに張っている」状態なので、表面は「平滑(ツルツル)」です。 もし表面がボコボコ(凹凸不整)していたら、それは肝臓が線維化して硬くなった「肝硬変」のサインです。

✔ 脂肪肝の「4大サイン」を理解しよう

脂肪が音を反射・吸収することで、以下の現象が起きます。

  • 肝実質エコー輝度の上昇
    • 脂肪での反射が強いため、肝臓全体がキラキラと白く光ります。
  • 肝腎コントラストの増強
    • 本来、肝臓と腎臓(皮質)の明るさは同じくらいです。しかし、肝臓だけが真っ白になるため、隣にある黒っぽい腎臓との明るさの差(コントラスト)がくっきりと目立ちます。これが脂肪肝の診断で一番有名なサインです。
  • 深部エコーの減衰
    • 表面の脂肪で超音波がたくさん反射・吸収されてしまい、エネルギーを使い果たします。その結果、肝臓の奥底(深部)まで音が届かず、画面の下の方が真っ暗になります。
  • 肝内血管の不明瞭化
    • 肝臓全体が白くなりすぎるため、本来は白く見えるはずの血管の壁(門脈壁など)が、背景に埋もれて見えにくくなります(ホワイトアウト現象)。

✔ 各選択肢について

1.肝表面の凹凸不整

  • 正解(誤り)
  • 肝表面がボコボコするのは、再生結節や線維化が生じる「肝硬変」の特徴です。脂肪肝では表面は平滑(スムーズ)か、むしろ丸みを帯びて膨らみます。

2.深部のエコー減衰

  • 誤り(正しい)
  • 脂肪層で音が消費され、奥まで届かなくなる現象です。

3.肝内血管の不明瞭化

  • 誤り(正しい)
  • 背景が眩しすぎて、血管の線が見えなくなる現象です。

4.肝腎コントラストの増強

  • 誤り(正しい)
  • 「肝臓は白、腎臓は黒」。この差が開くのが脂肪肝の典型例です。

5.肝実質のエコー輝度の上昇

  • 誤り(正しい)
  • いわゆる「Bright Liver(ブライト・リバー)」の状態です。

出題者の“声”

この問題は、「脂肪肝」「肝硬変」という、2大肝疾患の画像所見を区別できているかを試しておる。

脂肪肝は「太った肝臓」じゃ。あのフランス料理のフォアグラを思い浮かべるのじゃ。 脂肪でパンパンだから、表面はツルッとしておる。 対して肝硬変は「傷ついた肝臓」じゃ。線維化して縮こまり、ゴツゴツとした岩のようになる。

「病気になれば何でもボコボコになる」なんて適当に覚えてはおらんかな? 病態(中身)をイメージできれば、選択肢1を見た瞬間に「それは肝硬変!」と即答できるはずじゃ。


臨床の“目”で読む

現場では、脂肪肝は日常茶飯事です。

  • まずは「腎臓」と比べる
    • プローブを当てて「お、肝臓が白いな」と思ったら、すぐに右腎臓と一緒に画面に入れます。 肝臓が腎臓より明らかに白ければ、「脂肪肝あり」と判定します。これが「肝腎コントラスト」です。現場での診断の第一歩ですね。
  • 深部減衰との戦い
    • 選択肢2の「深部減衰」は、技師にとっては厄介な敵です。 肝臓の奥が真っ暗になってしまうと、そこに隠れているかもしれない「肝臓がん」や「転移」を見落としてしまうからです。 そんな時は、周波数を低くしたり、ハーモニックイメージングを駆使したりして、なんとか奥まで光を届けようと必死に調整します。
  • 肝硬変への進行を見逃すな
    • 脂肪肝(NASHなど)を放置すると、やがて肝硬変へ進行します。 定期検査の中で、ツルツルだった表面が「ちょっと波打ってきたかな(凹凸不整)?」と感じたら、それは病期が進んだ危険信号かもしれません。 表面の変化には、常に目を光らせておく必要があります。

今日のまとめ

脂肪肝の4大サイン:

  1. Bright Liver(全体が白い)
  2. 肝腎コントラスト増強(腎臓より白い)
  3. 深部減衰(奥が暗い)
  4. 血管不明瞭化(血管が見えにくい)

肝表面の凹凸不整は、肝硬変のサイン。


コメント