【第76回 午前 25】暗記地獄からの脱出!医薬品名のヒントを探せ!

核医学診療技術学

放射性医薬品と集積機序の組合せで誤っているのはどれか。

  1. 67Ga-クエン酸ガリウム ―――― トランスフェリン受容体
  2. 99mTc-GSA ―――― アシアロ糖タンパク受容体
  3. 99mTc-HMDP ―――― ハイドロキシアパタイト
  4. 123I-イオフルパン ―――― ドパミントランスポータ
  5. 123I-IMP ―――― 中枢性ベンゾジアゼピン受容体

出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)


5.123I-IMP ―――― 中枢性ベンゾジアゼピン受容体


解説

✔ 「IMP」と「IMZ」の違い

この問題の核は、選択肢5です。 脳シンチグラフィで使われるヨウ素(123I)製剤には、紛らわしい2人がいます。

  • IMP(アンフェタミン)
    • 役割:脳血流シンチ(血の巡りを見る)。
    • 機序:脂溶性なので脳に入り込み、アミン受容体への結合やpH勾配などで留まります。
  • IMZ(イオマゼニル)
    • 役割:脳受容体シンチ(てんかんの焦点を探す)。
    • 機序:「中枢性ベンゾジアゼピン受容体」に特異的に結合します。

今回の選択肢5は、薬品名が「IMP」なのに、機序が「ベンゾジアゼピン受容体(IMZの機序)」になっているため、これが誤りです。

Iomazenil(イオマニル)、Benzodiazepine(ベンゾジアピン) 名前に「ゼ(Z)」が入っている同士がペアです!

✔ ☢️ 核医学検査 頻出放射性医薬品 一覧表


✔ 各選択肢について

1.67Ga-クエン酸ガリウム ―――― トランスフェリン受容体

  • 誤り(正しい)
  • ガリウムは、血液中の「トランスフェリン」と結合して炎症部位や腫瘍に運ばれ、そこにあるトランスフェリン受容体を介して取り込まれます。 (※腫瘍シンチや炎症シンチの主役です)

2.99mTc-GSA ―――― アシアロ糖タンパク受容体

  • 誤り(正しい)
  • 肝臓の予備能を見る検査です。 肝細胞の表面にある「アシアロ糖タンパク受容体」の数に依存して集積するため、肝臓が元気かどうか(受容体がいっぱいあるか)が分かります。

3.99mTc-HMDP ―――― ハイドロキシアパタイト

  • 誤り(正しい)
  • 骨シンチの主役です。 骨の無機成分である「ハイドロキシアパタイト」の結晶に化学吸着します。 骨折や骨転移で代謝が盛んな場所(結晶が新しく作られている場所)に強く集まります。

4.123I-イオフルパン ―――― ドパミントランスポータ

  • 誤り(正しい)
  • パーキンソン病の診断に使われる「ダットスキャン(DaTSCAN)」のことです。 線条体にある「ドパミントランスポータ(DAT)」に集まります。パーキンソン病ではこれが減るので、集積が低下します。

5.123I-IMP ―――― 中枢性ベンゾジアゼピン受容体

  • 正解(誤り)
  • 前述の通り、IMPは「脳血流」を見る薬です。 ベンゾジアゼピン受容体に集まるのは「123I-IMZ(イオマゼニル)」です。

出題者の“声”

この問題は、学生が一番嫌がる「薬品名」と「横文字の機序」のマッチングじゃ。 特に「IMP」「IMZ(イオマゼニル)」は、アルファベットも似ておるし、どちらも脳に使うから混同しやすい。そこを狙った典型的なひっかけじゃな。

しかし、丸暗記はいらんぞ。 イオマニルは、ベンゾジアピン。 「ゼ(Z)」つながりで覚えておけば、こんな選択肢は秒殺できる。 「イオフルパン=ドパミン」も、最近の国試のトレンド(パーキンソン病)じゃから、しっかり押さえておくように。


臨床の“目”で読む

現場では、この2つの薬は全く別目的で使われます。

  • 脳梗塞や認知症なら「IMP」
    • 「最近もの忘れがひどくて…」という患者さんには、脳血流を見るIMP(またはECD)を使います。 アルツハイマー型認知症なら、頭頂葉や側頭葉の血流が落ちているパターンが見えます。
  • てんかんなら「IMZ」
    • 「てんかん発作の原因場所(焦点)を見つけたい」という時には、IMZ(イオマゼニル)の出番です。 てんかんの焦点部分は、血流は保たれていても、神経細胞の機能(ベンゾジアゼピン受容体)が落ちていることがあります。 IMP(血流)では正常に見えるのに、IMZ(受容体)では欠損している。この「解離」を見つけることで、手術すべき場所を特定するのです。
  • ダットスキャン(イオフルパン)は必須
    • 選択肢4のイオフルパンは、今や核医学検査のエース級です。 レビー小体型認知症とアルツハイマーの鑑別にも使われるため、検査件数が非常に多いです。 「イオフルパン=ドパミントランスポータ=パーキンソン・レビー」という式は、臨床の常識です。

今日のまとめ

  1. IMP「脳血流」製剤(アミン受容体・脂溶性)。
  2. IMZ(イオマゼニル)「脳受容体」製剤(ベンゾジアゼピン受容体)。
  3. イオフルパン「ドパミントランスポータ」。パーキンソン病診断の要。
  4. HMDP「ハイドロキシアパタイト」。骨シンチの基本。
  5. GSA「アシアロ糖タンパク受容体」。肝臓の元気度を見る。

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