99mTc-MAA の粒子径[μm]はどの程度か。
- 0.03
- 0.3
- 3
- 30
- 300
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
4.30
解説
✔ MAAは「肺のフィルター」に引っかかるサイズ
99mTc-MAA(大凝集人血清アルブミン)は、肺血流シンチグラフィに使われるお薬です。 この検査の原理は、「肺の毛細血管に粒を詰まらせて(塞栓させて)、その分布を見る」というものです。
では、肺の毛細血管の太さはどれくらいでしょうか? 人間の赤血球の直径が約 7〜8 μm です。毛細血管は、赤血球がやっと通れるくらいの細さなので、直径は約 10 μm 程度です。
MAAが血管に引っかかるためには、「赤血球よりも大きく」なければなりません。 しかし、大きすぎると手前の太い血管で詰まってしまい、末梢まで届きません。 そこで、MAAの粒子径は「10 〜 100 μm(平均 30〜50 μm)」になるように調整されています。
✔ 各選択肢について
1.0.03
- ❌ 誤り
- これはウイルスやコロイド粒子(99mTc-スズコロイドなど)のサイズです。 こんなに小さいと、毛細血管をスルスル通り抜けてしまい、肝臓や骨髄の網内系(掃除屋細胞)に食べられてしまいます。
2.0.3
- ❌ 誤り
- これもコロイド粒子のサイズです。毛細血管には引っかかりません。
3.3
- ❌ 誤り
- 赤血球(7〜8 μm)よりも小さいサイズです。 これでは毛細血管を通り抜けてしまい、全身に回ってしまいます。
4.30
- ✅ 正解
- 赤血球(約8μm)の約4倍の大きさです。 このサイズなら、肺の毛細血管(約10μm)に確実に引っかかり(一時的に塞栓し)、きれいな肺血流画像が得られます。
5.300
- ❌ 誤り
- 大きすぎます! 0.3 mmです。 こんなに大きな塊を入れたら、もっと手前の細動脈レベルで詰まってしまい、肺梗塞のような症状を起こしたり、不均一な画像(ホットスポットだらけ)になったりして危険です。
出題者の“声”

この問題は、単なる数字の暗記ではなく、「人体のサイズ感」と「検査の原理」を結びつけられているかを試しておる。
肺血流シンチは「毛細血管塞栓法」じゃ。 つまり、「血管(約10μm)より大きくなければならない」。 この時点で、選択肢1, 2, 3は消える。
残るは30か300かじゃが、300μmなんて肉眼で見えるほどの砂粒じゃぞ。そんなものを血管に入れたらどうなるか、想像すればわかるはずじゃ。 「赤血球よりちょっと大きいサイズ」。この感覚を持っておけば、迷うことはないぞ。
臨床の“目”で読む

「血管を詰まらせる」と聞いて、ギョッとした方もいるかもしれません。 「それって、人工的に肺塞栓(エコノミークラス症候群)を作ってるのと同じじゃん!」と。
- 安全性の秘密
- その通りです。微小な肺塞栓を作っています。 しかし、MAAで塞栓される血管は、肺全体の血管のうちの「数千分の一」程度に過ぎません。 肺の機能には全く影響がないレベル(安全域)で検査を行っています。 しかも、MAA(アルブミン)は生体内で数時間もすれば溶けてなくなり、血流は元通り再開します。だから安全なんです。
- 注意が必要な患者さん
- ただし、例外があります。 「右左シャント(心臓に穴が開いている)」がある患者さんです。 穴を通ってMAAが左心系(動脈側)に抜けてしまうと、脳や腎臓の血管に詰まってしまい、脳梗塞などを起こすリスクがあります。 だから我々技師は、検査中にモニターを見て、 脳に薬が行ってないか常にチェックしています。もし脳集積が見えたら、それはシャントの証拠であり、同時に危険信号でもあるのです。
今日のまとめ
- 99mTc-MAAの粒子径は10〜100μm(平均 30〜50μm)。
- 赤血球(約8μm)より大きく、毛細血管(約10μm)に引っかかるサイズ。
- 原理は「肺毛細血管塞栓法」。
- 詰まらせる血管数はごくわずかなので、肺機能への影響はない(安全)。
- 右左シャントがある場合は、脳梗塞リスクに注意!



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