標準計測法 12 における電子線の線質指標で正しいのはどれか。
- Rp
- R50
- Rres
- zref
- TPR20,10
出典:厚生労働省公開PDF(令和6年版)
2.R50
解説
✔ 「電子線」と「X線」の指標はペアで覚える!
日本の放射線治療におけるルールブック『標準計測法12』では、ビームの質(エネルギーの大きさ)を決めるための「指標」が決められています。 ここが一番のテストに出るポイントです。
- 電子線:R50(半価深)
- 線量が最大値の50%になる深さ
- X線:TPR20,10
- 水深20cmと10cmの線量の比率
【なぜ違うの?】
- 電子線は、ある深さで止まってしまいます。だから、「どこまで届いたか?(深さ)」を見るのが一番エネルギーを反映しやすいのです。その代表点として「ちょうど半分(50%)になる深さ=R50」が採用されました。
- X線は、体を突き抜けていきます。止まる場所がないので、「深さによる減衰のカーブ(比率)」を見てエネルギーを推測します。
✔ 各選択肢について
1.Rp
- ❌ 誤り
- Rp(実飛程:Practical Range):深部線量曲線(PDD)がバックグラウンド(制動放射線)のレベルと交わる点、つまり「電子がほぼ止まりきる深さ」です。
- エネルギーの概算には使われますが、『標準計測法12』において、線量校正定数を決めるための正式な線質指標としては使われません。
2.R50
- ✅ 正解
- R50(半価深:Depth of 50% dose): 電子線のエネルギー指標の主役です。 「深部線量曲線(PDD)において、最大線量の50%になる深さ(g/cm²)」と定義されています。
- この値を使って、電離箱線量計の換算係数(kQ)を決定します。
3.Rres
- ❌ 誤り
- Rres(残余飛程):これは陽子線治療などで使われる概念で、標準計測法12の電子線指標には出てきません。
4.zref
- ❌ 誤り
- zref(基準深:Reference Depth): これは「指標」ではなく、「実際に線量を測る深さ(場所)」のことです。
- R50(指標)が決まったら、計算式(zref = 0.6 × R50 – 0.1)を使って、「じゃあ、水深〇〇cmのところに線量計を置いて測ろう」と場所を決めます。
- 「指標」と「測定位置」を混同しないように注意!
5.TPR20,10
- ❌ 誤り
- TPR20,10(組織最大線量比): これは「高エネルギーX線」の線質指標です。
- 電子線の問題における最大のひっかけ選択肢です。
出題者の“声”

この問題は、線量計測の「手順」が頭に入っておるかを試しておる。
水ファントムにビームを撃ち込んで、まずは深部線量曲線(PDD)を描く。
そこで何を見るか?
「電子線なら、線量がガクンと半分(50%)に落ちる場所を探すはずじゃ。それがR50じゃ」
「X線なら、10cmと20cmの値を割り算するはずじゃ。それがTPR20,10じゃ」
ただ記号を丸暗記するのではなく、「水槽の前で何をしているか」を想像できれば、間違えることはないはずじゃよ。
臨床の“目”で読む

現場の物理士や技師は、この「R50」を求めて、標準計測法12と格闘します。
- R50 が決まれば、全てが決まる
- 新しいリニアックを導入した時、まず最初に電子線のPDDを測ります。そこで得られた「R50」の値をもとに、「このエネルギーなら、基準深 zref は水深 2.8cm だな」「この電離箱(ファーマ型)を使うなら、校正定数 kQ は 〇〇 だな」といった具合に、全てのパラメータが芋づる式に決まっていきます。つまり、R50 は電子線計測における「パスポート」のような存在なのです。
- 毎年恒例の「水測」
- この R50 などの値がズレていないか、年に一回などの頻度で、水を張った水槽(ウォーターファントム)を出してきて精密測定を行います。業務終了後の治療室で、水面が揺れないように測定する…これも治療技師の通る道ですね。
今日のまとめ
- 電子線の線質指標は R50(半価深)
- X線の線質指標は TPR20,10
- Rp(実飛程)は電子が止まる深さだが、指標ではない。
- zref(基準深)は実際に測定する「場所」。R50 から計算する。
- 「電子は50%(R50)」「X線は比率(TPR)」で区別せよ!



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