超音波検査用造影剤(ペルフルブタン)で正しいのはどれか。
- 主に呼気中に排泄される。
- 気泡径は10 nm程度である。
- クッパー細胞には取り込まれない。
- 腎機能障害のある患者には禁忌である。
- 体重50 kgの患者には100 mL程度を静注する。
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
1.主に呼気中に排泄される。
解説
✔ ペルフルブタンとは?
- ペルフルブタン(商品名:ソナゾイド)は、肝疾患の評価を中心に用いられる超音波造影剤です。
- ガス化マイクロバブルを含んでおり、通常の超音波では見えにくい病変の描出を可能にします。
✔ 各選択肢について
1.主に呼気中に排泄される。
- ✅ 正解
- ペルフルブタンは肺から呼気として排泄されるガス造影剤で、腎や肝の代謝を介さない点が大きな特徴。
2. 気泡径は10 nm程度である。
- ❌ 誤り
- 気泡径は1〜10 µm程度。nm(ナノメートル)ではなく、マイクロメートル(µm)サイズ。
3.クッパー細胞には取り込まれない。
- ❌ 誤り
- 肝臓のクッパー細胞に取り込まれる性質があり、後期相(Kupffer相)画像で肝腫瘍の良悪性鑑別に有用。
- 後期相(Kupffer相):超音波造影剤を入れて時間がたったあと(およそ10分後)に撮る画像のこと。このタイミングでは、造影剤が肝臓の正常な部分にだけ残るので、がんなどの病変部分は黒く抜けて見える。
4.腎機能障害のある患者には禁忌である。
- ❌ 誤り
- 腎排泄ではないため使用可能。腎機能低下例でも安心して使えるのがメリット。
5.体重50 kgの患者には100 mL程度を静注する。
- ❌ 誤り
- 通常の投与量は0.5~2 mL程度。0.015 mL/kgが目安で、100 mLは桁違いに過剰。
出題者の“声”

この問題では、超音波造影剤の性質をちゃんと理解しておるかを見ておるのじゃ。
「超音波で造影?」とか、「呼吸で排泄なんて聞いたことないぞ!」と思った者は、つい腎排泄やアレルギーの方ばかりに気を取られてしまいがちじゃな。
ペルフルブタンは例外的に“呼気中”から排泄される特殊な造影剤なのじゃ。しかも、肝臓のクッパー細胞に取り込まれるという特長まであって、これはCTやMRIにはない利点じゃぞ。
泡の大きさや投与量のケタにも惑わされんように、数値の感覚もしっかり身につけておくことが大事なのじゃ。
造影剤は、成分だけじゃなくどこに行って何をするかまで考えて覚えるのじゃ。
臨床の“目”で読む

ペルフルブタンはCT造影が難しい腎不全の患者さんにとって、非常にありがたい選択肢です。
静脈穿刺+1 mL未満の微量投与でしっかり肝病変が見えるので、侵襲が少なくルーチン検査にも向いています。
特に後期相(Kupffer相)では、正常肝組織は造影剤を取り込み、腫瘍部分だけが抜けて黒く見える。
これはCTやMRIでは描出困難な微小肝癌や転移巣の評価にも有効です。
現場では“0.015 mL/kg”を基準に用量を決定しますが、1mLにも満たないことが多く、初めてだとその少なさに驚くかもしれません。
キーワード
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