病院情報システムで正しいのはどれか。
- 画像情報は放射線情報システムに送信される。
- X線撮影の検査オーダには撮影部位の情報が含まれる。
- 医師が行った診察の記録はオーダリングシステムに登録される。
- 検査に用いる医療材料や医薬品は医事会計システムで発注される。
- 実施情報はオーダリングシステムから放射線情報システムに伝達される。
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
2. X線撮影の検査オーダには撮影部位の情報が含まれる。
解説
✔ 病院情報システム(HIS)とその関連システム
病院内の情報システムは、以下のように役割分担され、互いに連携して動作しています。
- HIS(病院情報システム):全体の中枢システム
- OES(オーダリングシステム):検査・処方・処置などの指示入力
- RIS(放射線情報システム):放射線検査の受付、撮影リスト(ワークリスト)の管理、実施情報の記録など
- PACS(画像保管通信システム):DICOM画像を保管、管理、配信
- EMR(電子カルテ):診察内容、診断、治療方針などを記録、診療録の中核
- 医事会計システム:診療報酬請求、会計処理
- 物品・薬剤管理システム:医薬品、消耗品の在庫・発注管理
✔ 放射線検査における情報の流れ
- 医師 → オーダリングシステム:検査オーダを入力(例: 胸部X線撮影)。
- オーダリングシステム → RIS:オーダ情報(患者ID、検査種別、撮影部位など)を伝達。
- RIS → 撮影装置(モダリティ):ワークリストから撮影情報を装置へ送信。
- ※実際に検査を行う※
- 撮影装置 → PACS:撮影された画像(DICOMデータ)を送信・保管。
- RIS → オーダリングシステム・医事会計システム:撮影完了という実施情報や請求情報を伝達。
✔ 各選択肢について
1. 画像情報は放射線情報システムに送信される。
- ❌ 誤り
- 画像データそのもの(DICOM)は、PACSに送信・保管されます。
2.X線撮影の検査オーダには撮影部位の情報が含まれる。
- ✅ 正解
- 「どの検査」を「どの部位」に対して行うかは、オーダにおける必須情報です。
- この情報がなければ、技師は何を撮影すればよいかわかりません。
3.医師が行った診察の記録はオーダリングシステムに登録される。
- ❌ 誤り
- 診察の記録(所見、診断など)は電子カルテ(EMR)に登録されます。
- OES(オーダリングシステム)は検査や処方の指示。
4.検査に用いる医療材料や医薬品は医事会計システムで発注される。
- ❌ 誤り
- 医薬品や医療材料の在庫管理や発注は、薬剤管理システムや物品管理システムが担います。
- 医事会計システムは、それらの使用実績に基づいて「請求」を処理します。
5.実施情報はオーダリングシステムから放射線情報システムに伝達される。
- ❌ 誤り
- 情報の流れが逆。
- 検査が完了したという実施情報は、RISからオーダリングシステムへ伝達され、オーダのステータスが「実施済み」に更新されます。
出題者の“声”

この問題では、病院情報システムの各サブシステムが、それぞれどんな情報を扱い、どのように連携しているか、その「情報の流れ」を正確に理解できているかを確認しておるのじゃ。
OES, RIS, PACS, EMR…アルファベットが並ぶと難しく感じるかもしれんが、これらは放射線技師が毎日使う「仕事道具」そのものじゃ。
「よくわからんけどとりあえず使っている」では、いざというときに対応できん。
「画像はPACSへ」「指示はオーダリングから」「記録はカルテへ」という基本的な役割分担と、「指示が来て(OES→RIS)、検査をして、終わったことを返す(RIS→OES)」という一連の業務フローを頭に描けていれば、決して難しい問題ではない。
システムを正しく理解することは、単に操作できるかどうかではなく、医療安全とチーム連携に関わる力でもあるのじゃぞ!
臨床の“目”で読む

医療現場において放射線技師は、検査オーダーから撮影、レポート、画像保存に至るまでの“情報の流れ”に深く関わる職種です。
- OES(オーダリングシステム)では、医師が検査を指示。
→「この検査どうやってオーダするの?」という問い合わせは日常茶飯事です。 - RIS(放射線情報システム)では、OESから届いたオーダをもとに、検査予約・ワークリスト作成・撮影条件の自動セットアップが行われます。
→ 毎日の業務はRISで始まり、RISで終わると言っても過言ではありません。 - 撮影後の実施情報(線量・日時・条件)はRISに記録され、OESや会計システムと連携して診療報酬の計算にも使われます。
→ ここで誤った情報が送られると、患者さんへの請求ミスなど、経営や信頼に直結するトラブルになりかねません。 - 実際の画像データ(DICOM)はPACSに送られ、読影・参照・長期保管に使われます。
これらの情報が正しく、タイミングよく流れるには、システムごとの役割分担を放射線技師自身が理解しておくことが不可欠です。
「自分のやっている操作が、どこにつながっているか」を意識することが、トラブルの防止・早期解決・チーム医療への貢献につながります。
キーワード
- 病院情報システム (HIS)
- 放射線情報システム (RIS)
- 画像保管通信システム (PACS)
- オーダリングシステム (OES)
- 電子カルテ (EMR)
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