IVRで使用するガイドワイヤで正しいのはどれか。
- 滅菌して再利用できる。
- 造影剤の誘導に用いられる。
- 血管刺入部の止血に用いられる。
- 血管内カテーテルの誘導に用いられる。
- カテーテルの長さよりも短いものが用いられる。
出典:厚生労働省公開PDF(令和7年版)
4.血管内カテーテルの誘導に用いられる。
解説
✔ ガイドワイヤとは?:血管内の「線路」
IVRで使用するガイドワイヤは、細くしなやかな金属製のワイヤーです。
その最も重要な役割は、目的の場所までカテーテル(治療や検査に使う細い管)を安全かつ確実に届けるための「線路」や「道しるべ」となることです。
IVRの基本手技であるセルディンガー法では、
- まず針で血管を穿刺し、
- 針の内腔を通して、先にガイドワイヤを血管内に挿入し、
- その後、針を抜いて、血管内に残したガイドワイヤに沿わせる形でカテーテル(シース)を挿入します。
このように、常にガイドワイヤを先行させることで、カテーテルが血管壁を傷つけることなく、スムーズに目的部位まで到達させることができるのです。
✔ 各選択肢について
1. 滅菌して再利用できる。
- ❌ 誤り
- ガイドワイヤは、血液に直接触れる医療機器であり、感染や血栓形成、ワイヤー表面のコーティング劣化などのリスクがあるため、単回使用(ディスポーザブル)が原則です。再滅菌して使用することはありません。
2.造影剤の誘導に用いられる。
- ❌ 誤り
- 造影剤を注入するのは、中が空洞になっているカテーテルの役割です。ガイドワイヤは、そのカテーテルを導くためのものであり、ワイヤー自体を通して何かを注入することはありません。
3.血管刺入部の止血に用いられる。
- ❌ 誤り
- 検査・治療が終わった後の穿刺部の止血は、手による圧迫や、専用の止血デバイスを用いて行います。
- ガイドワイヤに止血の機能はありません。
4.血管内カテーテルの誘導に用いられる。
- ✅ 正解
- これがガイドワイヤの最も基本的かつ重要な役割です。カテーテルを進めるための「線路」として機能します。
5.カテーテルの長さよりも短いものが用いられる。
- ❌ 誤り
- 安全に操作するため、ガイドワイヤは必ず使用するカテーテルよりも長くなければなりません。
- これにより、カテーテルを体内に進めている間も、常にワイヤーの端を体の外で保持でき、ワイヤーが体内で迷子になる(逸失する)のを防ぎます。
出題者の“声”

この問題は、IVRの世界への第一歩、基本中の基本である「ガイドワイヤ」の役割を、正しく理解しておるかを試しておる。
カテーテル治療と聞くと、つい主役であるカテーテルに目が行きがちじゃが、そのカテーテルを安全に導く「名脇役」であるガイドワイヤの存在なくして、IVRは成り立たん。
「ワイヤーがカテーテルより短い」なんていう選択肢は、臨床の現場を想像すれば、ヒヤリとするような状況じゃな。ワイヤーの端を常に手元で確保しておく、という安全操作の基本が分かっておれば、即座に誤りだと見抜けるはずじゃ。
臨床実習の時に「何を使って」「何をしているのか」をしっかり見ていたものにとってはサービス問題じゃ。道具とその役割を、一つひとつ正確に結びつけて覚えることが肝心じゃぞ。
臨床の“目”で読む

IVRの現場では、私たち放射線技師もチームの一員として、これらのデバイスの知識を深く理解しておく必要があります。
ー技師の役割とデバイスの知識ー
IVR中、術者である医師は手元に集中しています。その医師が「次の○○ワイヤーちょうだい」と指示を出したときに、多種多様なガイドワイヤの中から、素早く正確に手渡すのが、介助につく技師や看護師の重要な役割です。
ー多様なガイドワイヤー
ガイドワイヤと一口に言っても、その種類は数百にも及びます。
- 硬さ: 蛇行した血管を通過するための柔らかいワイヤー、硬い病変を貫くための硬いワイヤー
- 先端形状: まっすぐなストレート型、血管の枝への迷入を防ぐJカーブ型
- 表面加工: 血管内での滑りを良くするための親水性コーティングが施されたもの
など、治療の目的や血管の状態に応じて、様々なワイヤーを使い分けます。 この問題は、その多様なワイヤーの、最も共通した「カテーテルを導く」という基本機能を問うているのです。
今日のまとめ
- ガイドワイヤの最も重要な役割は、血管内でカテーテルを目的部位まで安全に誘導すること。
- 安全な操作のため、ガイドワイヤは常に使用するカテーテルよりも長いものを使用する。
- 造影剤の注入や止血には用いられず、これらはカテーテルや専用デバイスの役割である。
- 感染や機能劣化のリスクを防ぐため、単回使用(ディスポーザブル)が原則である。
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